約 312,792 件
https://w.atwiki.jp/shibuyateikoku/pages/13.html
皇帝 渋谷ックス(25) 帝国領土 http //std1.ladio.net 8060/shibuya.m3u Skype ID shibuya_the_emperor
https://w.atwiki.jp/kirakira_dangerous/pages/103.html
かつんかつんと、安アパートのスチール階段を靴底が叩く音がする。 浦見栞はその音にびくりと身体を強張らせた。 がちがちと歯の根を噛み鳴らし、額には脂汗が浮かぶ。 恐怖だ。 誰かが――否、彼(彼女)がここに来る。 それが、ひどくひどく恐ろしかった。三年もの雌伏を経てついに行動に移した復讐を、投げ出してしまっても構わないと思うほどに。 この数日で栞の心は完膚無きまでに折られていた。 その癖逃げ出してしまおうとは思えないほどに、甘やかな期待に縛られてしまっている。 出来ることはなにもない。 せいぜいが、こうしてみっともなく震えて縮こまることだけだ。 果たして靴音は、栞が身を置く部屋の二つ手前の部屋で途切れた。 ぎいと錆びついた扉の開閉音と、次いで洗面所の水音。そんな生活音が安普請を通じてこの部屋まで伝わってくる。 研ぎ澄ませた神経でもってその情報を受け止めて、靴音がこの部屋の主でなかったことを確信する。 ほう、と安堵のため息。 早鐘を打つ心臓が徐々に落ち着いていくのを待ちながら、ゆっくりとこわばった身体を解きほぐす。 ぴんぽぉん と、間の抜けたベル音が部屋中に響き渡ったのは、そんな時であった。 「――っ!?」 緊張、弛緩、それに次ぐ不意の来訪。 手放しかけた恐怖が再び心の裡を満たすよりも早く、栞の肉体が音を上げる。 「うっ……ゔえぇぇェェ……!」 即ち、ぐしゃぐしゃに視界が歪み、腹の底から胃液がこみ上げてきたのだ。 止めるすべもこらえるすべも持たなくて、薄汚れたフロアタイルの上にそれをぶちまける。 ドアホンを鳴らした相手は、鳴らしたはいいものの迎えを待つつもりは特にないのだろう。 さして間を置かず、鍵と扉を開ける音が玄関から聞こえてくる。 「あ、ああぁぁぁ」 来る。来る。 彼女(彼)が来る。 強まることはあれ薄まることのない恐怖心と、幾ばくかの期待感を抱えながら、居間の床上で醜態を晒す。 「ちょっと」 「――めんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」 この数日で、彼女の心は。 完膚なきまでに、折られてしまっているのだ。 「――大丈夫?」 居間を覗き込んだ人物は、栞の様子を見ていささか面食らったようだった。 「ごめんなさい、ごめんなさい――」 「いいから、いいから。ほら、落ち着いて」 「ごめんなさい――」 「―――兄さん」 吐瀉物も気にせず兄(稚切バドー)は、気遣わしげに。栞の背中をさすった。 人並みの倫理観を持っている、とは口が裂けても言えないが。 しかしバドーは、嗜虐趣味があるわけでも露悪趣味があるわけでもない。 なのでこの体たらくに、思うところは大いにある。 浦見栞と再会したのは、大悲川の要請に鬱々としながら渋谷の街を探っていた中でのことだった。 いま、東京の街を取り巻く殺人鬼の異常増殖―――その起点となった街だ。 なにか当てがあった訳ではないが、とにもかくにもこの街を探ることを選んだ。 ――ああ、嫌な感じだな。 というのが、渋谷駅を降り立ってすぐに得た所感である。 ひどく、空気が―つまりは通行人たちの“認識”が―ひりついていた。恐怖、猜疑心、怨恨、あるいは殺意。 時折際立った殺意を覚えるのは、あれが本物の殺人鬼だろうか。それともせいぜいが予備軍か。 もしそうであれば石を投げても当たりはすまいが、声を上げれば届く程度には街に殺人鬼が集っている。 全都民の10分の1がジャック・ザ・リッパー、なんてしょうもないジョークが、二重の意味で笑えない有様だ。 「(血なまぐさい街ではあったけど。前は、ここまでじゃあなかった)」 バドーは数年前、多少の期間をこの街で過ごしていたことがある。 当時はそう、この街を取り巻く血と暴力はまだそれなりに統制されていたのだ。『裏原宿ストローヘッズ』――そう名乗る、彼らによって。 家族が離散して根無し草になったばかりの頃、幾度か彼らのねぐらに潜り込んで過ごしていたこともある。 聞くものが聞けば眉をひそめ、あるいは震え上がるような名前ではあったが。 その内実は十代の悪ガキがわあきゃあ騒いで過ごす、知性と品性の欠けた、しかし血の通った生活の場であった。 そしてそれは、同じく十代の子供に過ぎないバドーにとっては、少なからず心地よい世界でもあったのだ。 「――それも今は昔、か」 元より確たる目的地があるわけではない。 渋谷駅の構内を念入りに探索し(迷っていたわけではない。断じて)、西武渋谷店から公園通り沿い――原宿方面へと歩く。 あの街をまとめ上げていた男――浦見絶彦は死んだ。 誰も彼もが早足で去っていくこの街で、当然に早々と彼は忘れ去られ、紆余曲折の末その後継チームの一つがこの街の覇権に手をかけた。 ――そして、その首魁も、何者かに殺されたらしい。警察が把握する限りの、“最初の事件”だ。 「(さて、どれほど使えるものかな)」 手元には、大悲川が用立てた幾つかの写真がある。 ストローヘッズやその後継は警察も存在を把握していたから、写真を手に入れるのはそう難しくはなかった。 あとは街を歩いて道行く若者たちの“認識”を探りながら、関係者を探し、そこから情報をたぐる。 浦見絶彦と山乃端一人、その他主要魔人数名。彼らの写真が持つ“認識”は、その段において役に立つだろう。 実際の殺人鬼への対処をどうするかはさておき、ひとまずポーズとしてはこんなものか。 原宿までは歩いて15分ほど。 当時の記憶を頼りに、更に竹下通りまで歩みを進める。 そう、たしかここからキャットストリートに向かえば、その途上に彼らのねぐらだった雑居ビルがあるのだ。 ――あれから三年以上経っている。 関係者がその近郊にどれほどいるかもわからないが、他にこれと言って当てもないし、云々。そんな思考を走らせていた最中のことだ。 「――っ!」 ひときわ大きい、“殺意”を認識したのは。 渋谷駅で感じたそれなど、比べ物にならない濃度であり、密度だ。 死を、殺人を。 濃密に経験したバドーはしばし、色を失う。かつてのようにああこれは殺意だな、と。単なる情報として処理することができない。 “その感覚”が、真に自分のものとしてもたらされることを、バドーは恐れる。 だからその、殺意の源を探る。 認識を、情報を、怒りを、絶望を、怨みを、我を、彼を。 そうして自分と、自分がもつ情報――彼らの写真――を捏ね回し、もっとも殺意(それ)を向けられない認識(じぶん)を作り上げる。 「…兄、さん?」 そうして向き合ってみれば、ストリートファッションに身を包んだ痩せぎすの女が、目を見開いていた。 涙が、零れ落ちる。 こうしてバドーは、浦見栞と邂逅(さいかい)した。 繰り返すが、稚切バドーは別段、人並みの倫理観を備えているというわけではない。 もともと、どこかの家庭や組織に潜り込んでは、そのメリットを掠め取って生きてきたのだ。 この時もその切欠は偶然であったが、“兄”として浦見栞と接触していの一番に考えたのは 「(ああ、これは使えるな)」 ということだった。 どだい、今の東京の惨状を一人でどうにかするなど無理な話なのだ。 言い訳が立つ程度に殺人鬼を捕獲なり始末なりするにしても一人、使える手駒(・・)がいるというのは大きなメリットと言える。 矢面に立たせれば命の危険も減じようし、うまくすれば自分の手を汚さずに――死の認識を受け取らずに、事を進めることだってできるかもしれない。 だから、仕立て上げることにした。 より従順に、より使えるように。 何というほどの事ではない。兄として栞に接し、振る舞う。基本はそれだ。 彼女の知る兄のように、話して、触れて、食卓を共にする。 けれど長くは一緒にいない。適当な理由で切り上げて、彼女の元を去る。それを、幾日か繰り返す。 栞から遠く離れ、能力を解除すれば彼女は思い出すのだ。 バドーは兄ではないし、兄はとうに無残に殺されたということを。 自分はただ、誰とも知らぬ女に媚びへつらい、親愛と恋情と、劣情を向けていたに過ぎないと。 栞の前に姿を見せるたびに、彼女はとうに失ったはずの最愛の人を得る。 姿を消し、能力を解除するたびに、浦見栞は最愛の人を失う。 何度も、何度も、何度も、何度も、彼女は喪失し続ける。 失ったはずの日々の再演と、幾度も繰り返される喪失に。ほんの数日で彼女は目に見えて憔悴していった。 始めのうちは、強い怒りと憎悪の痕跡が見て取れた。バドーの首を取ろうと思ったのだろうか、刃物や薬品を用いて罠を仕掛けた痕跡もあった。 そして、仕掛けたそれを解除したのも彼女自身だ。何しろそれは、最愛の兄を害しうるものなのだから。 そして、先程のあの有様である。 そろそろ頃合いなのだろう。 罪を重ねるために、日常を重ねる。 どちらが大切かと言えば、答えは決まっているけれど。 どちらが重要(・・)かと言えば、少しだけ難しい問題だね。 「まったくもう。信じられないな」 早歩きしながら、私らしくもない愚痴が口から洩れる。 別に俯いたり噛みついたりはしないから愚痴ぐらいは勘弁してほしい、という弁解が、誰に言うでもなく心を通り抜けていった。 いやはや、大変な一日だった。 夜に人が死ぬのは今の東京では珍しくもない話で、私立青百合(うちの)高校でも一時の興奮は覚めて久しい。いや、久しかった(・・・)のだが。 「まさか、百合高生(わたしたち)から犠牲者が出るとは」 人死にが身内にまで波及しては、流石に平静とはいかなくなる。 それは、生徒の代表たる生徒会、そしてその長である西条なつみ(私)であっても同じだ。 いや……諸々の対応が必要になる分、より大変であった、と言っても過言ではあるまい。 生徒会に学校経由で事件の一報が入ってきたのが二限の終わりごろ。 即座に生徒向けの広報文の作成を開始し、並行して学校側と折衝。 渋る教師達を説得し、授業の休止と学校の正式なコメント発表の約束を取り付けたのとほぼ時を同じくして、昼休み突入のチャイムが鳴ったのを覚えている。 その頃には前門のマスコミ後門のマスコミ電話口の保護者の皆様といった有様で、更に空気を察した生徒達にも動揺が波及。 マスコミと保護者は学校側が対応したものの、その分手薄になる校内生徒の統制には生徒会が動かざるを得ない。 動揺する生徒は広報文など読んではくれないから少々手荒な(・・・)統制になってしまったが、致し方ない事ではあった。 その後、マスコミの皆様には穏便にお帰り頂き、生徒会の要請と保護者の強い希望により生徒達の早期帰宅が順次行われ、 ……しかし、早期帰宅する生徒の中に西条なつみ(私)は含まれていなかった。 何故かって? 今日は用事もないし(・・・・・・・・・)、生徒会長として生徒全てが帰ったのを見届けなければならないからね。 生徒会の長というのはそういう事だ。真っ先に逃げ帰るようでは長ではない、なんていうのは誰かの受け売りだけれども。 長が死んだら組織は死ぬが、長が失墜しても組織は死ぬ。 なかなか難しいバランス取りを大体の長はしている訳だ。そうでない長は、まあ、そのうちどちらかになるのだろう。 ともかくそんな訳で、西条なつみ(私)はすっかり暗くなった街を歩いている。 街に人気(ひとけ)はない。別に最近の夜が物騒だからという訳ではなく、この辺りはずっとそうだ。 私の実家があるこの住宅街、以前どこかで見た住宅ガイドでは「背筋が伸びるような雰囲気」と評されていて、うまくオブラートに包んだものだと感心したのを覚えている。 私に言わせれば、単に「人の気配がしなくて息苦しい」だけなのだけどね。 強固なセキュリティを持つ豪邸が立ち並ぶこの辺りのエリアは生活感とは無縁だ。 徒歩10分と離れていない最寄り駅近くの喧騒が嘘のように、ここは真逆の静謐さに呑まれている。 そんな実家の環境を、私は少しだけ……。 「……ん?」 何か、違和感を感じる。いつもの街の空気が、少しだけ揺れているような。 いや、これは実際に、音が……。 咄嗟に自分の頬を二度、叩く。 聴覚倍増(タップ)、嗅覚倍増(タップ)。 響くは恐怖と狂騒の声(オト)。 匂うは血潮と臓物の香(カオリ)。 私は、思わず走り出していた。 スキップ・スキップ。 空を羽ばたく鳥だって、たまには地面も歩きます。 助走、休憩、準備運動。大体そんな感じです。 夜の街を歩きます。 夜の街を歩いています。 裏路地を抜けてしばらく行くと、そこは住宅街。それも、頭に『高級』とつくような住宅街です。 ここは、行きに通る時も帰りに通る時も、いつも人がいなくて、空気がぴんとしています。 そんなに好きではないけれど、ちょっぴり憧れもあったりして。 あの塀の向こう側には、普通の女の子の私には想像もできない、優雅な世界があったりするのかなあ。 そんな事を考えながら、私は人のいるところを目指します。 この住宅街を通り過ぎてしばらく行くと、大きな駅の前に出るのです。 そこまで行けばきっと何人かは人がいて、お話ができるかな、と思ったのでした。 そう、お話。喜びも苦しみも分かりあうような(・・・・・・・・・・・・・・・)、そんなお話。 だけど、その前に。 「あら?」 この住宅街の中でも、ひときわ大きくて立派なお屋敷。 その前に、スーツをびしっと決めたおじさんが立っていました。 きっと、このお屋敷のガードマンの人なのでしょう。 ガードマンさんからは、不思議な苦しみ(・・・・・・・)が伝わってきました。 その苦しみが気になったので、私は彼に駆け寄って、声をかけてみます。 「あのう、ちょっとお尋ねしたいんですけど」 「ん? 何かな、君……痛たた。こんな夜遅くに出歩いてたら危ないよ」 彼は手を押さえながら、それでも笑顔で応じてくれました。 あ、私の痛み(苦しみ)を感じてくれてる。包帯でぐるぐる巻いたけどまだ治ってない物ね。んふふ。 おもわず私の口元が綻びました。釣られたように彼も笑います。 そして、私は言いました。 「死体を片づける(・・・・・・・)のって、そんなに苦しいんですか?」 「……っ!?」 ガードマンさんの顔が驚きに歪みます。それと共に、彼の記憶(苦しみ)がさっきよりさらに明瞭に、私に伝わってきました。 真っ赤に染まった窓のない部屋。 濃密な血の匂い。 人の死体……だった、まるで獣の食べ残しのような骨と肉の混ぜこぜ。 それらを片付けた後、高圧水流で洗い流されていく血潮と死体の残りかす。 そして、その一部始終を笑いながら見ている、凛とした、百獣の王のような印象の女の人。 「おじさんじゃなくて、あのお姉さんが殺したんですよね。どうやったらあんな風にバラバラにできるんでしょう。 んふふ、きっと楽しかったでしょうね! あのお姉さんはこのお家の人なんですか? 会ってみたいなあ、きっとお話が弾みそう! ねえおじさん……?」 「……ひ、ひひっ」 ガードマンさんは笑いながら、腰に差していた棒のようなものを手に取ると、引き抜いて構えました。 バチバチと電気が流れるような音がします。青白い火花が、暗がりに慣れた目にちょっと眩しいです。 「何故そんな事を言うのかな、ひひっ! なつみお嬢様の悪い噂を流すなんて、悪い子だね、ひひひっ!」 ガードマンさんはなんだか苦しそうで、楽しそうでした。その苦楽が、そのまま私に伝わってきます。 初めて会った女の子に、主人の秘密を暴かれる苦しさ。 スタンバトンの高圧電流で苦しむ女の子を見たい楽しさ。 手のひらをナイフで貫かれたような苦しさ。 目の前の人間を、殺した時を想像する楽しさ。 全てが伝わってきます。 私はそれを、全部貰って。 「……んふふ、そうよおじさん」 懐に踏み込んで│こうされるのが嫌い(苦しい)でしょう? 股間を蹴り上げて│こうされるのが痛い(楽しい)でしょう? 倒れた頭を踏みつけ│こうされるのが嫌い(苦しい)でしょう? そのまま首筋をざくり│こうされるのが痛い(楽しい)でしょう? 「私、ちょっぴり悪い子なの。だから、夜更かしもしちゃうし、こんな事もしちゃうのよ」 ガードマンさんの苦しい事の中の一つ。 懐に入っている定期入れ、その中のカードキーを誰かに持っていかれる事。 このお屋敷の鍵を大体は開けられちゃう、すっごいカードキーを誰かに渡すこと。 私はそれをあっさり探し出し、そのままるんるんとお屋敷の入り口に向かいます。 「ひひ、ひ、な、なん……」 ごぼごぼとガードマンさんが笑い、何かを言おうとします。 ああ、分かるわ、あなたの苦しい事、楽しい事、して欲しいこと。 カードキーを差し込んだ後、彼の方に振り返って、私は言いました。 「なんでこんな事をって? 知りたいの、おじさん? んふふ、分かった。教えてあげる」 ガラガラと開いていく門を背に、私が笑う姿が、ガードマンさんにははっきり見えた事でしょう。 「もちろん、あの素敵なお姉さんに会いに行くのよ!」 ステップ・ステップ。 豪華な飾りの階段を、私はゆっくり昇ります。 そこそこ急な階段で、一段飛ばしは無理でした。一歩一歩しっかりと、鼻歌交じりに昇ります。 踊り場に差し掛かったら、くるりとターン、半回転。 振り返れば、沢山の人達が見えました。 沢山の人達が殺されて(苦しんで)いて、沢山の人達が殺して(楽しんで)いました。 沢山の人達が殺して(苦しんで)いて、沢山の人達が殺されて(楽しんで)いました。 沢山の苦しみと楽しみを受け取って、私は。 「んふふふふ、んっふふふふふ……!」 嬉しくてスキップしたくなりました。 階段では危ないので止めました。 慌てず騒がず、一歩一歩、進んでいきます。 さて、このお屋敷――表札によると西条さんのお屋敷――にやってきた目的を、忘れるわけにはいきません。 こちらのご令嬢、西条なつみさんにお会いするために、私はお邪魔したのですから。 あ、名前はガードマンさんが言ってたので分かったんですけどね。 お屋敷の他の人達も、多かれ少なかれ彼女の記憶(苦しみ)があるようでした。 とても印象に残るお姉さんなんですね。ますます気になってきます。 2階に上がってスキップ混じりに歩いていくと、幾つかの普通のドアと、一つの立派なドアがありました。 むむ、これは。小市民の私には簡単すぎるクイズです。 答えは立派なドア! 失礼しまーす! 「……誰だ」 中に居たのは知らない……訳でもない、立派なガウンを着たおじ様。 お屋敷の皆さんの記憶(苦しみ)の中で、少しだけ見覚えがあります。立派な服装からして、多分お屋敷のご主人でしょうか。 「君……だ、誰……ヒハッ、な、なつみ……?」 おじ様の記憶(苦しみ)が、おじ様の思い出(楽しみ)が、伝わってきます。 そして、そのどちらにも、西条なつみさんの姿が見えました。 「初めまして、おじ様。んふふ、西条なつみさんの事、色々教えて下さらない?」 「ヒヒッ、なつみが、なっ、ヒィッ!」 「きゃっ……んふふ、おじ様積極的ね!」 もちろん、私の楽しみも、おじ様に伝わっています。 だから、おじ様の楽しみは、私を殺す楽しみ。 そして、私の楽しみも、おじ様を殺す楽しみ。 お互いの楽しみの戦いは、私の勝ち。 おじ様、ステッキ捌きは凄くかっこいいけど、斧には勝てないでしょう? でも、当たりどころが良かったのかしら。おじ様はまだ死んでいないみたいでした。 だけど、もう少しで死んじゃうのは同じよね。もう一度斧を振り上げた、その時。 「お父様……!」 ドアを蹴破りそうな勢いで、一つの黒い影が部屋に飛び込んできました。 「……ああ」 一目見て、分かりました。 長い黒髪、切れ長の瞳。凛とした、百獣の王のような印象の女の人。 急いで走ってきたのでしょうか。はあはあと息を荒げているのが、少し色っぽいような気もします。 間違うはずもありません。この人が西条なつみさん。 この家に住む人たちの多くの記憶(苦しみ)、そしておじ様の思い出(楽しみ)に残っていた女の人。 そして、幾度もの凄惨な殺人を行った張本人に違いありません。 「ああ……!」 思わず感極まった声をあげてしまいました。 倒れているおじ様の事も忘れて、私は彼女を見つめます。こちらを睨む彼女と、目が合いました。 教えてほしい、答えてください。あなたは一体、 「君は、一体」 どんな楽しみを持っていて、どんな苦しみを抱くのか。 教えて、教えて、教えて! クラック・クラック。 扉は開かれます。 そして、二度と閉じる事はないのです。 「……ああ、君は」 「お父様? ……良かった、まだ無事なのですね」 「逃げませんよ、お父様」 「だって、お父様はまだ生きてるじゃないですか……勿体ない」 「折角お父様を殺せる(・・・・・・・・・)のに、逃げるなんて勿体ない」 「はは、暴れないでくださいお父様……君、何か刺せるものはないかな。お父様を固定しないと」 「うん、ナイフでいい。……よし、と。じゃあ、もう少し楽しみましょう、お父様」 「なんで、ですか? ははは、お父様はおかしな事を聞きますね」 「こんなに楽しいのに、お父様を殺さない理由が無いじゃないですか(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)」 「ははは、ははははは……!」 「んふふ、んふふふふふ」 「……はは、ははは」 部屋には二人の笑い声が響いています。 勿論、一人は私、もう一人は西条なつみさん。 私たちは部屋の床に座り込んだまま、笑い合っています。 私達は、全ての苦しさと楽しさを共有しました。 走った後の疲労の苦しさ。 罪を重ねた上で最後に喰らい合う楽しさ。 手のひらをナイフで貫かれたような苦しさ。 そして、殺人を犯す事の楽しさ。 「んふふ……素敵、素敵だわ」 「……そうかい?」 少し興奮気味の私の声に、少し気だるげな西条なつみさんの声が答えます。 「ええ。私、こんな楽しさ知らなかったもの。でも、分かるの」 「楽しさ」 「そうよ。罪深い人を食べて、最後に罪を重ねた相手と喰らい合う。その楽しさ、とっても素敵! 私も虜(とりこ)になっちゃいそうだわ」 「……なるほど。君は他人の楽しさを共有できるんだね」 「ええ! 人と苦しさ楽しさを共有できる。それが私のクラック・クラック!」 「なるほどね」 西条なつみさんはくすくすと笑います。 「君がずいぶん慌てん坊なのは分かった」 「? どうして?」 「だって、私は君の名前も知らないんだ。その前に魔人能力だけ知るなんて、いやはや」 何かがツボに入ったのでしょうか。西条なつみさんはお腹を抱えて笑い続けます。 私はというと、今更無作法なのに気付いてしまって赤面していました。 「あの、ごめんなさいね? そんなつもりは無かったのだけど。お家の人に聞いて、あなたの名前も先に知ってたの。……西条なつみさん」 「ああ、気にしないよ。これでも少しだけ有名人でね。こちらの名前だけ知られてるのは慣れている。でも」 西条なつみさんは頬に手を当てると、続けます。 「君の名前も、教えてくれるとうれしいな」 どきり、と、私の心臓が高鳴る音が聞こえた気がしました。 部屋に入って息を荒げていた時のように、いいえ、それよりもっともっと、彼女が色っぽく感じられたからです。 「あ、あ、あの。……ナツミ」 「? それは私の名前だよ?」 「い、いえ、そうじゃなくて……私もナツミ、なの。小津(オヅ)、夏美(ナツミ)」 「……へぇ」 すぅ、と、西条なつみさんが目を細めました。心臓が更に高鳴ります。 「……“ラブ・ファントム”」 「へ?」 あ、間の抜けた返事をしちゃいました。あわわ。 「君もナツミっていうんだ、でもいいけど、ちょっと不便だからね。だから、別の名前を使う事にする」 彼女は小さく息を吐くと、 「……誰かが私を、罪を重ねる私をこう呼んだんだ。だから、私は人呼んで“ラブ・ファントム”」 「な、なるほど……すごい、とっても素敵だわ」 「普段使いには少し長いけどね。好きに呼んでいいよ」 「じゃあ、ラブファンさん!」 「ははは」 目が笑ってない! 別の呼び方考えないと! 慌てる私に、西条なつみさん……もとい、“ラブ・ファントム”さんは、ふと真面目な表情になると、こう言いました。 「……そうだ。君にも名前がいるね」 「私に?」 「そう。君は、“ラブ・ファントム”(私)と一緒に罪を重ねたいんだろう?」 「それは、ええと、その……はい」 苦しさと楽しさを共有すれば、当然そういう事もバレてしまいます。 なので、恥ずかしくはないのですが、ちょっぴり頬が赤くなるのは何故でしょう。 「だったら、表の名前とは別に、罪の名前が必要だ。罪を重ねるための名前がね」 「罪の、名前……」 「うん。表の名前と違えば何でもいいんだけど」 “ラブ・ファントム”さんは少しだけ考えると、私に問いかけました。 「君、お喋りは好きなタイプかな」 「ええ、大好き! 友達とお喋りしているととても楽しいもの。もちろん、あなたとのお喋りもよ、“ラブ・ファントム”さん」 「さんはいらないよ。……そうだな。じゃあ、こうしよう」 もったいぶるかのように間をおいて、“ラブ・ファントム”はその名を口にしたのです。 「“少女のお喋り(ガールズトーク)”、なんてのはどうかな。君のお気に召せば、いいのだけど」 その瞬間(とき)から、私は“ガールズトーク”になりました。 私たちは、取り留めもないお喋りを続けます。 夜はまだまだ長いから。 隣に転がるおじ様は、ちょっぴり臭ったけれど。 連続猟奇殺人鬼。 残虐である。 目を覆いたくなるほど非倫理的で、フィクションを超えて荒唐無稽で、どうしようもなく実在し、爆発的にセンセーショナル。 それはつまり、カネになるということだ。 切り裂きジャックは言うに及ばず。 エドワード・ゲイン、ロバート・ハンセン、アイリーン・ウォーノスにテッド・バンディ。 彼の故郷なら関根元や都井睦雄あたりがそうだったろうか。 殺人鬼たちが描くエンターテイメントは大いに経済を潤す。 で、あるならば。エンターテイメントの本場がその萌芽に大きな関心を抱くのは、当然のことだろう。 「さて」 依頼された動画のアップロードを終え、男は小さく伸びをする。 仕立ての良い高級そうな――そして下品な光沢を宿すスーツを身にまとった、派手な男だ。 自己主張の強いアクセサリーをじゃらじゃらと身に着け、しかし一定の調和があるように見えるのは本人のセンスによるところか。 派手で下品で、そしてそれが絵になる男だった。 名をモリアーティといい、殺人鬼の殿堂たるハリウッドにおける、プロモーター(ハゲタカ)の一人である。 日本のトーキョーは、いま業界の注目が最も集まっている都市だ。 次の二十年を背負う主役はこの街から現れるだろう――ある評論家は、そのように述べたという。 わがハリウッドは勿論、カンヌに釜山、ムンバイ等々。古豪・新興問わず映画都市勢力は影のそのまた影で青田買いやヘッドハントに勤しんでいる。 トーキョーにおいてモリアーティが注目している殺人鬼の幾人かには、既にコンタクトを取っている。黒房清十郎――通称“新人類”(ニューエイジ)もその一人だ。 「それにしても、不思議なコよネェ」 一揃えした新人類の来歴や犯行資料を眺め、モリアーティはしみじみと呟く。 殺人鬼としての彼のあり方は、いささか特異であるといえる。 即ち 黒房清十郎は、信念によって人を殺していない。 黒房清十郎は、快楽によって人を殺していない。 怨恨によっても、報酬によっても、性癖によっても、強制によっても人を殺していない。 その生い立ちも、プロファイリングの結果によっても、示す結論は同じだった。 黒房清十郎に、人を殺す理由はない。 それでも彼は人を殺す。彼の言うところの、スゴイ殺人鬼になるために。 こだわりも美学もなく、まるで物のついでのように。 しかし真剣…? に、殺人鬼として邁進する。 「類型としては、目立ちたがり屋やフォロワーに近いンだろうケド……」 そんな、軸の乏しい三流どころとも違う。 モリアーティが唾棄する所の、百三十余年かけて希釈され続けた切り裂きジャック一党のような拘泥も見受けられない。 故にこそ名付けたのだ。 業界に風穴を開ける新世代型の殺人鬼として。 新人類の名を。 「期待、しているわヨォ ……ま、ただのネジの外れた突然変異かもしれないけどねン♪」 それならそれで――そう、この祭を彩ってくれればそれで良い。 今しがたアップロードした動画を、更に幾つものサブアカウントに、下請け業者も駆使して拡散していく。 PRタグのつかないそれは自然な口コミとして、出所不明のまま拡散されていく。 彼女――この動画のクライアントもまた、モリアーティが注目する新人の一人だ。 趨勢が確定するまでは過剰な肩入れは避けるべきなのだろうが、そこはそれ。面白くなるなら何でも有り、なのだ。 トーキョーの街の明日を思い、モリアーティはにんまりと笑みを深めた。 いい仕事とは、自分が楽しむのが第一条件なのである。 「あーーーー! そっかーーー! こういうのもありだよなーー! そっかーー! なぁんで思いつかなかったかなー!」 都内某所。 高層マンション、地上32階。 黒房清十郎こと連続殺人鬼、新人類はタブレット端末に映し出された動画を食い入るように見つめ、声を上げる。 ぺしんと額を叩き、リピート再生。 それは。それ自体はよくあるスナッフ・ムービーだった。 椅子に括り付けられた青年が、顔を隠した一人の少女の手によって破壊(クラック)されていく。 技術的には、そう見るべきものはない。 ありふれた凶器から玄人好みの拷問器具まで。 あれやこれやと趣向を変えていく工夫には光るものがあったが、手付き自体は時にたどたどしいものもある。 それでもコツを心得ているのだろう。男の悲鳴は随分とツボを突くものであったから才能があるのか、何らかの能力か。 しかしあれなら、自分のほうがよほど上手く殺せるだろう。そんな自負も、ある。 「(あの人がぜひ見ておいて、なんて言うから)」 と。はじめは肩透かしを受けた心地だったのだ。 ―――いやいや、きっと何かあるはずだ。何しろ本場の殺人鬼からのプッシュである。 勉強中の身で生意気はいけない! 果たして。 “彼”が勧めた理由はすぐに分かった。 本題はスナッフではなく、その“後”なのだ。 『隙をついて楽に勝ちたいだとかァ 不利な場所で戦いたくないとかァ 苦手な相手がこない様に予防線をはるとかァ あんまり沢山の相手をするのが大変だとか思ってるのを誤魔化してェ』 『それってェ~ひょっとしてビビってるんですかァ』 “ガールズトーク”。 青年を殺した少女はそう名乗り、動画越しにせせら笑う。 『いや、良いんですよ? ネズミのように物陰をこそこそ逃げ回って生き残ってちょっと最後だけ勝っても それで最強の殺人鬼だって胸を張って言えるなら良いんですよォ? 賢く少しの労力で勝つって素敵ですよねェ~』 顔を隠す覆面越しにもたやすく表情を想像できるほどに、粘着質な笑い声が黒房を捕らえる。 そうして重ねられる言葉の数々は、挑発的であり、蠱惑的だ。なにより彼女の語る殺人鬼の世界観は―― 『渋谷スクランブル交差点に一堂に会する殺人鬼 これは絵になるし格好良いと思うんですよねェ~』 「っはーーー! なるほどなーーー!!」 すごく“良い”! おもわずいいねボタンを連打し、タブレットは爆発四散した。 やはり殺人鬼というものは千差万別!黒房清十郎は始めの己の不見識を大いに恥じる! そう、一流の殺人鬼を目指すなら殺すだけではない。 いつ、どんなシチュエーションで殺すのか。その演出も忘れてはならないのだ! 小手先の技術が不要とは言わないが、“これ”を思いつかなかった自分はまさに視野狭窄と言えるだろう! “彼”が言った場数を踏め、というのは。きっとこういう話なのだ。 「ガールズトークさんかぁ……いや、スゴイなあ。僕もちょっとしたものだと思っていたけど」 腕を組んでうん、と頷く。国内ですら、こんな傑物がいるのだ。 まったく、業界(せかい)は広いのだと思い知らされる。 「よし。彼女は絶対僕が殺そう」 渋谷のスクランブル交差点。 その邂逅に思いを馳せて、決意を新たにする。 「あ、いけない。続き続きっと」 それはそれとしてマンションの家主は地上三十二階に突然侵入してきた怪人によって殺された。 『そういう訳だ。渋谷をなんとかしてもらう』 「……本気で言ってるんですか?」 大悲川――自分を言いように扱うこの悪徳警官からの連絡は、いつだって面倒事を伴う。 『当たり前だろ。俺はよ、善良な一般市民の安全を第一に考えてるんだぜ』 バドーのささやかな抗弁を、大悲川は鼻を鳴らして一蹴した。 当然、自分はその善良な一般市民には数えられていないのだろう。 送られてきた動画を流し見ながら、バドーはため息をつく。 『お前ら同士でやりあうのは結構なことだからよ。放置しても良いんだが――』 「……相手が魔人とは限らないですよ」 『ああ、そうだな』 殺人鬼と括られて語られることへの忌避感は、“お前ら”という言葉を魔人という意味であるのだろうと食い下がらせた。 大悲川は否定も肯定もせず、せせら笑うだけだ。 『ガールズトーク、だったか。こいつは挙げろ。それか必ず死体を確認しろ』 「はぁ」 『その筋じゃあちょっとした時の人扱いって所だ。放置するのはうまくねえんだよ』 バドーの気のない返事に、大悲川は少し苛立たしげに付け加える。 少し溜飲が下がるが、意味するところは即ち――自分もそこへ赴け、ということだ。割りに合わないどころの話ではない。 「まるでおまわりさんみたいな物言いですね」 『なんだと思ってんだ』 「言って良いんですか?」 『口の減らねえガキだ』 舌打ちが一つ。 『映像があるんだ。調べをつけるぐらいはできんだろうが』 「ああ、それなんですが」 動画から目線を外す。 視線の先の浴室からは、鼻歌とシャワー音が聞こえてくる。 「今ここでは、ちょっと」 『あぁん?』 「いま、私の認識をズラすわけにはいかないんです。結構繊細なんですよ?いろいろ」 『ふん、またぞろどっかに潜り込んでるのか。こっちは急を要するんだ。何も死ぬわけじゃあ――』 「死にますね」 『死ぬのか』 冗談や酔狂ではない。 少なくとも、浦見栞のすぐ近くで浦見絶彦という“認識”を下手に動かせば、彼女が何をするやら ――予想もつかない有様、というのならまだいい。予想通りになってしまうのが一番まずいのだ。即ち 『死ぬんじゃしょうがねえな』 死ぬんじゃしょうがないのだ。 「お仕事の話?」 「ん…まあ、そんなところ」 シャワーから上がった栞が見たのは、物憂げな仕草で通話を打ち切る兄の姿だった。 「てか服を着ろ」 「え、いいじゃーん」 くつくつと笑いながら、兄が身を預けるソファに飛び込む。 「あ゛っ、もう、お前それやめろ。ガキじゃねんだから」 「あーーー、うーーー」 タオルをひっつかみ、兄は乱雑にわしゃわしゃと髪を撫で回す。 栞はその感触にきゃらきゃらと笑った。 兄がいる。 兄がここにいる。それだけでただただ満たされてしまう。 彼(彼女)が目の前にいる間、他に考えられることなどなかった。 兄の死も、殺意を隠し続けた日々も、復讐も。すべてすべてどうでもいい。ただ、兄との日々に溺れていたかった。 そして、だからこそ。恐ろしいものがある。 ずきりとした頭の痛みに抗わず、脱力して兄の胸へと身を投げ出す。 「おーい、いい加減に――」 「にいさん」 言葉を遮る。タオルで顔を隠し、胸元で兄のシャツを握りしめた。 「また、行っちゃうの? ……お仕事」 「……」 栞は、それがひどく恐ろしかった。 もちろん、兄と一緒にいられないのは寂しい。けれど、帰る場所を守るのだって、かつては立派な仕事だった。 そんな次元ではなく、兄が離れてしまうのが、なぜだかひどく恐ろしかった。 そのことについて考えようとするとひどく頭が痛む。もとより頭は回らないから、ただ、漠然とした恐ろしさだけを抱えている。 「……俺の街が、荒れてるからな。なんとかしねえと」 ――ああ、兄ならきっと、そう言うだろう。 「………にいさんと、離れたくない」 「すぐ帰ってくるさ」 昔と同じように、兄は優しく言う。 何もかも、寸分違わず彼は昔と同じ(・・・・)だ。 変わったのは、栞の方である。 「………手伝う」 「ン?」 「……わたしも手伝う」 不思議と、驚いた風でもなく兄は、栞の背を優しく撫でた。 「………危険だ」 「構わない。にいさんと一緒にいたい」 「俺が信じられないか?」 「そうじゃない。にいさんと一緒にいたいの。離れたくない。一瞬も。ねえ、兄さん――」 対する栞は、この3年の間に変わった。変わり果てた。 兄の前で、昔のように振る舞ってみても――振る舞ってみたからこそ、どうしようもなく今の自分の浅ましさが浮き彫りになる。 「今日は、一緒に寝よ…?」 冬の朝はひどく冷える。 ベランダで寒風に当たりながら、バドーは考える。 さて、どうしてこうなったのか。 手伝うと、彼女が言い出したのは思惑通りだ。 そうなるように仕向けたのだから。 暖かな日常とその喪失を繰り返し繰り返し叩き込んだ。不安を煽る認識をそれとなく流し込み続けた。 兄の死と、目の前にいる兄(じぶん)。その矛盾を、自ら思考を放棄するようにもなった。 できるだろう、とは思っていたが。 能力をこのように使ったのは初めてだ。 能力で、こんなにも長く特定の個人で有り続けたのも。 だからだろうか。自分は、浦見栞のことを――ひどく、憐れんでいる。 あるいはこれは、写真の中の浦見絶彦の思いなのだろうか。 それでも心が痛むだなどとは口が裂けても言えやしないが、あの年上の妹の存在は、ひどく哀れで、悲しく思える。 「(一緒に寝るって、本当に一緒に眠るだけだったな……)」 だから求められたら覚悟を決めるつもりだったが。 あれが求めたのは幼子のように枕を並べるだけだった。はあ、と、白い息を一つ吐き出す。 今夜、バドーたちは殺人鬼どもの集まる修羅の巷へと繰り出す。 なぜだか一人だったときより、ずいぶんと気が重い。 これはバドーの思いではあったが、同時に自ら取り込んだ浦見絶彦という“我”の影響でもある。 ―――危険な、兆候だ。 某日 深夜23:59 渋谷駅前 スクランブル交差点 例年以上に冷え込む夜。 街は静けさと、ひりついた空気に包まれていた。 人の気配に乏しいのは無論時間のせいでも、気温のせいでもない。 真っ当な感性を持つ善良な人々は、報道と当局の注意喚起に従い、街から姿を消した。 ここにいるのは、ガールズトークと名乗る少女殺人鬼に触発された殺人鬼たちばかり。 数にして三十人弱といったところ。彼らは互いを牽制するように鋭い視線を走らせ、スクランブル交差点の各所で身構えている。 「―――」 身の丈3mに迫る大男は、傷だらけの顔を少年のようにくしゃくしゃと歪めて笑っていた。 「―――」 ストリートファッションの女は、これから起こる惨劇も、周囲の殺人鬼も気にならない様子で。 己から伸びる一筋の線を糸惜しげに撫でるばかりだ。 「―――」 「―――」 二人連れの少女たちは、小声で何事かとやり取りをしている。 片方が小さく笑みをこぼし、もう一方がやれやれと肩をすくめる。 それは放課後の、何気ないやり取りのようだ。長身の少女が、舌なめずりをした。 「―――」 目隠しをした少女は、そうしてそれが“なんでもないこと”であるかのようにこの場に立つ者たちを、等しく軽蔑した。 小さな苛立ちと憐憫は、白い息となって夜に消えていく。 魔人、非魔人、有名、無名、有象無象、ジャック・ザ・リッパー。 彼らは示し合わせたかのように、歩行者信号が変わる瞬間を合図として一斉に動き出し―― ――そして次の瞬間には、その大多数が死亡、あるいは発狂した。 「なに、が……」 突如として暴力的な快感が脳髄を揺さぶった――らしい。 何が起きたのか、バドーは正確には理解できていない。 明滅する視界と濡れた股ぐら、そして頭の端に残る残滓から、そうであったのだろうと推察しただけだ。 「あ、あ、ぅぅあああ」 「ひ、ひひひ……! ひあぁ…!」 「――っ!…!!」 周囲の様子を確認すれば、酷い有様だった。 鼻血を流したままへたり込んでいるもの、奇声と共に暴れているもの、倒れ伏したまま痙攣しているもの。 いち早く我を取り戻しただけで、自分もああだったのだろうか。 ざっと能力で探る限り、“まとも”な状態のものはいないことに、バドーはいぶかる。 だが。 目論見が外れた以上、いま、ここにいるのは極めて危険だ。他の魔人と比して特に貧弱な自分が、姿を晒し続けるのはリスクが大きい。 まして、さきの脳への極度の負荷のせいだろうか。ひりひりと脳の奥がしびれる感触は、暫くの間能力を十全には扱えないことを示している。 「(それにしても…一体何が!)」 これは何も、バドーに限った話ではない。 このとき何が起こったのか、正確に把握していたものはいないのだ。 信号を合図として全員が動き出す。 それぞれが周囲の殺人鬼たちに対してもっとも警戒を上げる瞬間――それは即ち、バドーの能力の精度が最も高まる瞬間に他ならない。 その瞬間を、狙った。 そこら中の殺人鬼たちの“認識”を、彼女の能力【象撫】(アペラント・メ・パトレム)の広域発動でかき乱す。 自他を、彼我を、認識を、殺意を綯い交ぜにして混乱と潰し合いを誘発する。 「さあ、楽しもう! なぁ――“ガールズトーク”!」 直前、西条なつみの声が響き渡った。 なつみは自らの目的のためにガールズトーク――小津夏美の存在を誇示する。 彼女に触発された殺人鬼たちは、大なり小なり彼女に注意を向けた。 象撫(アペラント・メ・パトレム)――発動 殺人鬼たちの認識がかき乱される。 彼らは何者であるか、何を苦とするか、楽とするか矢継ぎ早にすり替えられ、錯誤され、かき乱される。 クラック・クラック――発動 そうして次々に齎される苦痛と快楽の認識、記憶、実感。 そうしたものが、ガールズトークの能力によって“共有”される。 象撫(アペラント・メ・パトレム)――発動 拡散された苦痛と快楽は新たな認識となり、すぐさま一帯の殺人鬼たちの脳裏をかき乱していく。 クラック・クラック――発動 その衝撃によって得られた新たな苦痛と快楽は、ガールズトークによって即座に広げられていく。 さながらマイクとスピーカーのように、二つの能力は共鳴し、共振し苦楽の暴威となって殺人鬼たちを覆い尽くした―― 例外はある。 「ははははははははははは!!!!」 例えば黒房清十郎(新人類)。 彼は、立派な殺人鬼になりたかった。 その荒唐無稽な願望は人に理解されたことはない。 なにしろ別に殺すことそのものが楽しいとか義務とかではないのだ。ただ、そういうものであるだけで。 理解はされなかったが、黒房も周囲のことはどうでも良かった。 彼は、人を人とも思っていない(・・・・・・・・・・・)―――象撫(アペラント・メ・パトレム)は、彼には効果を及ぼさない。 それでもクラック・クラックの効果はあったから影響や混乱はないではなかったが、他の者達と比して我に返るまでの時間は随分と短かった。 「はっはははははは!!!」 そうして、内から湧き上がる感情のままに笑い、手近に倒れていた一人の皮を剥いでいく。 声を上げて感情を発散し、手を動かして肉体を整える。 嬉しかった。こんなにもわけのわからない殺人がある!人殺しは自由なのだ!来てよかった!いやぁっほう! 「いやぁっほう!」 しかしただ喜ぶばかりでいたいのも山々だが――それも勿体ない。 高ぶる気を沈めて、殺人鬼・新人類は意中の相手を探し始めた。 「あ――あああああぁぁぁぁぁ!!!!!」 浦見栞は慟哭していた。 稚切バドーの手駒として仕立てあげられた彼女は、この広域撹乱の対象からは外されていた。 予定外の共鳴現象により、バドーの能力は断絶――栞は、すべてを“思い出した”。 兄が死んでいたことを。 あれは誰とも知らない女であることを。 そして忘れることができない。 その時間が暖かであったことを、満たされていたことを。 その甘やかな回想と、自分の思いを言いように弄ばれる憎悪と絶望が、浦見栞を慟哭させ、絶望させ、狂わせる。 「――ろしてやる、殺してやる、殺してやる!」 涙と鼻血でその顔を醜く彩りながら、走る。 「許さない!ぜったいにころしてやる! あいつを、あのおんなを!にいさんを!ころしてやる!」 ひび割れた器に満ちた、わけのわからない感情の行き所を求めて。 栞は彼女が結んだ“糸”の先へと向かって駆けた。 00:17 渋谷駅 構内 「……っ!」 「考えてみれば――」 身体に力が入らない。 「いつもは誘い込んで型に嵌めるばかりだからね。追い込んだり殺し合ったり。いやあ、刺激的だよ。クセになりそう、ふふ」 「あっ……ぐ…!?」 クロスボウを携えた黒いセーラー服の少女が、肩口に刺さった矢を上から踏みつける。バドーは苦悶に呻いた。 スクランブル交差点の狂乱から逃れた殺人鬼らが、手を取り合ったり談笑をしたりするなどということは期待できず、そして事実そうはならなかった。 ハウリングを起こした能力の負荷から回復し、浦見栞を再び騙せるまでは、どこかに身を隠す必要があった。 ――その途上の接近遭遇とは、いかにも運が悪すぎた。 奇しくも、その相手はバドーの目的である所の殺人鬼、ガールズトークとその協力者(推定)であったが。これを好機と見るには条件が悪すぎる。 「名前は稚切バドー、だったかな? ああ、動かないで。普段だったらもっと丁寧に捕まえてあげるんだけどね」 手慣れた調子でクロスボウに矢を番えながら、よく通る涼やかな声で黒いセーラー服の少女――ラブ・ファントムは言葉紡ぐ。 それこそ放課後に語らう少女たちのような気安さで。 ラブ・ファントムがこちらの名を知っているのは――交差点で撹乱した時に様々な情報が“入った”からだろう。 同じ理由で、バドーもまた二人のことをある程度把握している。 「気をつけてくださいね」 ひょこりと覗き込んできた少女は、件の“ガールズトーク”だ。 「さっきのをもう一度使われたら、私、どうにかなっちゃいそうで」 陶酔した表情を見せる。 実のところ、この程度の人数で先程の衝撃は生み出せないのであろうが。彼女らにそれを知るすべはない。 「……半分はきみの仕業だろうに。しようのない子だ。時には我慢も必要だよ?」 放たれる矢。 「っ…ああああああ!!」 的確に急所を外されて、ただ苦痛だけがバドーを苛んだ。 「えへへ」 その傍らで、小さないたずらを窘められた子供のようにガールズトークは笑う。 「君の方の能力を抑えておくことは出来るかい? 私としても、あれをもう一回やられてしまうとたまらないんだ」 「ええ、もうやっているわ」 「ああ、そうかい」 ラブ・ファントムは緩慢な動作でクロスボウを持ち上げる。 「それは良かった」 発射したばかりのそれをごく自然な動作でガールズトークに向け、引き金を引いた。 「え」 果たして、無いはずの矢が発射される(・・・・・・・・・・・・)。 「“バイ・クイーン”。装填数は二倍となる」 矢が太ももに突き刺さるのと、ガールズトークの目が驚愕で見開かれるのはほとんど同時だった。 「どう、し、て――…」 二人の間に果たしていかなる因縁があるのか。 断片的にしか知り得ないバドーであったが、好機であるのには違いなかった。 「なぜって? 決まっているだろう――…私はきみが大嫌いで、殺す機会を伺っていたからだよ」 矢を受けたガールズトークは、ゆらりとよろめいて、やがて壁に凭れ掛かる。 その顔は、信じられない、という調子だった。 「稚切バドー、スクランブル交差点では参ったよ。 本当はあそこで決着をつけるつもりだったんだ。 あの娘の名前で動画を作ったり、挑発をして回って人を集めたり ――普通に狙ったんじゃあバレてしまうからね。数で押せば、なんて考えて――」 ようやく一つの溜飲を下げることが出来る。 西条なつみは、機嫌よく口の端を回した。 「ああいやあ、けどいいんだ。次善の策だったけどこうして上手く行ったし――」 「なん、で…――」 「ははは、また“なぜ”かい? 当ててご覧よ、人の痛みが分かる子なんだろう?」 「あっ…くうう…!」 バッグの中から取り出したテーザー銃(当然、電圧は二倍だ)を撃ち込みながら、嗤う。 口の端に泡を吹きながら、ガールズトークは痙攣した。 もとより、何かを語らせるつもりはあまりないのだ。 「………所詮、君が分かるのは苦と楽だけだ。愛も憎も、きっと及びもつかなかったのだろう。 どれだけの快楽が伴おうと、どれだけの痛苦を分かとうと。 ―――お父様をあんな目に合わせたんだ。あの、優しくて、頼りになる、愛する家族に手を出したんだ。 恨まれて、狙われて、惨たらしく、死んで当然だろう?」 これが、1つ目の理由。 「ァ゛、ぎ、 ひぃ……!」 耳を切る。 手指を削ぐ。 股ぐらを焼く。 それでも声音に喜悦が交じるのだから気色が悪い。 「そして、何より――」 2つ目。理由はもう一つある。 けれどそれを、ガールズトークが耳にすることはなかった。 彼女が背中を預けていた壁。 そこから丸太のように太い二本の腕が生えてくる。 “それ”はガールズトークを抱きしめ、そのまま壁の中に引きずり込んでいったのだ。 なんででしょう。 どうしてでしょう。 “ガールズトーク”(私)は考えます。 “ラブ・ファントム”。私と苦楽を共にした人。 私に矢を射た時、彼女が見せた表情は、初めて見るもので。 ……初めて? 本当に? 私はどこかで、あの顔を見たことはなかったでしょうか。 例えばそう。 私が小津夏美だと名乗った時、とか。 …………。 ひょっとして、私に名前をくれたのは。 彼女が“ラブ・ファントム”になって、私を“ガールズトーク”にしたのは。 私と同じ名前なのが嫌だった(・・・・・・・・・・・・・)から、なのでしょうか。 どうしてでしょう。 なんででしょう。 分かりません。 私には、分かりません。 分からないと考えるのも、だんだん辛くなってきました。 頭に段々ひび(・・)が入ってくるような、そんな感じ。 何もかもがひび割れて、バラバラになってしまいそう。 やがて、幾つものひび(・・)が集まって、大きな穴が出来ました。 私は、そこに吸い込まれていきます。 クラック・クラック。 私は落ちました。 自分の中の、大きな虚空(穴)に。 「―――!?」 突如の事態に、西条なつみは驚愕とともに後ずさる。 これが、ガールズトークの脱出手段などではないことは、抵抗するようにじたばたともがく両足が語っていた。 その両足もやがて壁の中に引きずり込まれ―― 「ひぎアアアアアアアアアぁぁぁ!!!!!」 壁越しの絶叫。 程なくしてそれは不自然に途切れる。 あとを継いだのは何かを切る音だ。潰す音だ。貫く音だ。裂く音だ。抉る音だ。へし折る音だ。粉砕する音だ。ねじる音だ。 「うん――こんなもんかな」 そして、場違いにのんきな男の声だ。 腕だけが出てきたときのように、壁の中からのそりと、男が現れる。 3m近い巨漢。 血でてらてらと光る、傷だらけの体躯。スキンヘッド。 その手には小型犬用の持ち運びペットケージが。ケージの中には丁寧に折りたたまれた小津夏美の姿があった。 男は、名を黒房清十郎。あるいは連続猟奇殺人鬼―――“新人類”(ニューエイジ)という。 「――最悪だ」 バドーは思わず、口に出して呟いた。 直前の流れは、決して悪くなかった。理由はどうあれ、自分を追い詰めた二人組が仲間割れを始めたのだ。 その間に、能力を行使できるだけ脳を休めることだってできた。 状況を静観し、どうにか逃げ出す算段のつきかけていた矢先のこの闖入者は、バドーにとって最悪の相手だ。 ―――即ち、自分の能力が、通用しない相手。 それが、腕力に物を言わせるタイプだというからなおさらたちが悪い。 一縷の望みがあるとするなら―――浦見栞が、こちらに近づいてきているということだろう。それがたとえ、自分を殺すためであっても。 眼前の怪人よりは、よほど与し易い相手だ。 「―――あっれぇ間違えた!」 そんな思考を、男の大声が吹き飛ばす。 先程まで、圧倒される二人に対してどこか得意げにペットケージを見せびらかすようにしていたのが、 ケージから覗く顔と、ラブ・ファントム――西条なつみの顔を、やおら見比べ始めた。 「あっちゃー! ガールズトークさんを殺すつもりだったのに! 参ったなあ!ケージの予備持ってくるんだった!」 およそ狂人のたぐいなのだろう。 当のガールズトークの遺骸が詰まったケージを投げ捨て、大男は頭を抱える。 ラブ・ファントムもまた、眉をひそめて硬直している。自分と同じく、扱いを決めかねているのだろう。 「(あの)」 「(……?)」 能力の応用だ。 認識を、明確に言語化して相手に送り、また受け取る。擬似的なテレパスである。 「(バドーです。こんな事言うのもなんですが……逃げませんか。手におえませんよ、あれ)」 「(魅力的な提案だね。すんなり退けるというのは希望的観測がすぎると思うけれど)」 思いの外冷静な回答が来る。 話が通じるというのはやはり良い。 ガールズトークの死亡も確認した。あとは人殺し同士で、好きにやってくれればいい。 「(足止めなら、当てがあります)」 「(乗った)」 「いやー、恥ずかしいところを見せてしまった! あの、ガールズトークさんですよね!動画見ました!すごかったです!」 ごく簡素な合意確認の間を縫って、怪人は朗らかにラブ・ファントムに語りかける。内容はひどく支離滅裂だ。 「ああ、いや。ええとその」 ラブ・ファントムは戸惑いながら応答する。かわいそうに。 だがあれの興味が彼女に向いているのであれば、それは歓迎すべき展開だ。 「スクランブル交差点で一同に介して、なんて。あの発想がヤバいっていうかシビれたっていうか! これは僕も負けてられないぞ!って思って、仕掛けたんですけどね。 いやー!人違いは恥ずかしい!」 聴覚は、すでに栞の接近を捉えている。 今少しはこの話に付き合ってもらうべきなのだろう。同情はするが、助けに入る気にはなれない。 痛みに顔をしかめながら、なんとか立ち上がる。 「あ、そうだ! 折角だからいろいろお話聞けませんか! 自分はまだまだ勉強中で、ああ―――」 「とりあえず二人きりになりたいですね!」 「――――っ!」 返り血と傷跡の下の、ぎょろりとした目がバドーを捕らえる。 その異質性と、つきつけられる相性の悪さがが鼓動を跳ね上げた。 「(けど…!)」 新人類は、その巨体に見合わぬ俊敏さで躍りかかる。 ほとんど同時に、これ幸いにとラブ・ファントムは反対方向へと向けて駆け出していた。うわ足はやい。 「栞!」 “浦見絶彦”が叫ぶ。 呼応するように、物陰に潜んでいた栞が大男の死角から飛び出した。 栞の鋏は魔人能力による、概念によって切る刃だ。肉体的な頑健さは無視できる。 「―――ははっ」 「(笑っ…!?)」 新人類は、即座に方向転換。 栞へと向き合い、無造作に――人を殺すのに十分な質量と速度を伴って――拳を振るう。 気づいていて、誘ったのだ! 「あ―――」 対する栞は、対応が間に合わない。 “兄のために”脇目もふらずに飛び出したから、尚更だ。 その頭を吹き飛ばすべく迫る、丸太のような腕の軌道が、バドーの意識の上をスローモーションで走っていく――― 群盲象を撫でる(アペラント・メ・パトレム)。 西アジアから中東にかけての地域において語られる説話だ。 六人の盲人が、象に触れる。 足に触れた者はこれは柱のようなものですと答えた。耳に触れたものは扇のようなものですと答えた。 鼻に、尾に、牙に、腹に。象に触れた盲人たちは皆それぞれ違う答えを発した。 それぞれの答えは皆正確で、そして盲人たちの答えはどれも不正確であった。 同じものでも見方によってそれは姿を変え、そして俯瞰して見ればまた別の答えがある。 ―――そんな説話だ。 然るに、一見して全く別のものであっても。 それは見方を変えれば同じものだ。我は汝である。汝は我である。 バドーの能力は、そうした類のものだ。 バドーはそうして、我と汝の間の関係に巣食って生きてきた。 自分では、何も持たないがゆえに。 ―――浦見絶彦。 一人の男の認識を、こんなにも長く持ち続けたのは初めてだ。 我は汝である。 汝は我である。 彼女は、稚切バドーである。 そして同時に、浦見絶彦でも、有り続けたのだ。 その事実はバドーにとっては紛れもなく―― 能力の暴走であり、呪いでしかなかった。 「う」 「うああぁぁぁぁ!!!」 気がつけば、身体が跳ね上がっていた。 刺さったままの矢も気にせず、新人類の腕の軌道上から、妹を突き飛ばす。 「栞ーーーっ!」 彼(彼女)の意識はそれきり途絶える。 能力の暴走による錯乱。 それにより、稚切バドーは死亡した。 「ありゃ」 少しばかり意外な成り行きに、新人類は目を丸くする。 肩から上を吹き飛ばされた浦見絶彦は、痙攣しながらあたりをデタラメに走り回り、やがてそこいらの柱に激突し、崩れ落ちた。 「ァ―――」 そのさまを、栞は呆然と眺める。 「にい、さん」 兄だ。 兄だった。 憎き敵であり、兄への思いを利用したクソアマであり、 失った日々を埋めたひとであり、愛する兄であり、兄でないものであり、クソあにでありたまらなくいとしい。 「兄さん、にいさん、にいさん」 愛憎の受け皿から、物理法則に従うだけのモノに成り下がり、やがてその肉は崩れ落ちた。 「にいさん、にいさん、にいさん、にいさん、にいさん」 「えっ、あれ女の子だったけど……」 「にいさん、にいさん、にいさん、にいさん、にいさん兄さん兄さん兄さん兄さん―――」 しおり、と。 その名を呼んだ最後の言葉だけが耳の奥に深く刻み込まれる。 ただ一人の家族の喪失と、雌伏の三年間と、動き出した復讐と、その放棄と、安らかな日々と、繰り返される喪失と、愛と憎の繰り返される回帰。 日々を通して、破壊され続けた浦見栞の心は。 “目の前で自分のために殺された兄” その事実によって。 完全に破壊された。 ぷつん ぷつん ぷつん 縁とは。 兄が繋ぐものだった。 兄の周りにはいつだって人が集まっていて、栞はその中のひとりで構わなかった。 ぷつん ぷつん ぷつん 縁とは。 栞にとっては、ただ途切れるものでしかなかった。 学校と。家族と。チームと。 いつだってずっと、ただ途切れ、失い続けるだけのものでしか無い。 だから兄とは正反対の、「切る力」なんてものに目覚めたのだろう。 でも。 そんなの誰だっておんなじなのだ。 誰だって、切り離され続けている。 ぷつん ぷつん ぷつん 「は、あは、ァー…ははははははは――」 白痴のような笑みを零しながら、虚空に向かって栞は鋏をふるい続けていた。 ―――否。 見えているのだ。 「えーんがちょ」 ウラハラシザーズには見えている。 壁と壁のつながり。壁と柱の繋がり。天井と梁の繋がり。通路と通路の繋がり。内と外の繋がり。 途切れればそれがどこにつながるか。 どこに力がかかり、どうなるのか。 「えーんがちょ。ふふふふ」 「――――」 その様子を、新人類は怪訝そうに眺める。 なにしろいつの間にか意中の相手は去っていて、若干手持ち無沙汰だったのだ。 「……へぇ!」 そして、何が起きたのかを察する。 ほどなくして低い地響きと、振動が辺り一帯を包み込んだ。こんな隠し玉があるとは。やっぱり国内も侮れない! ウラハラシザーズの白痴の瞳に、刹那、正気(憎悪)の光が宿る。 その目線が、新人類を射抜いた。 「――――死んじゃえ」 渋谷駅、崩壊。 「おおおおおっ!?」 拙い奇襲をなんなく弾こうと思ったら、中々どうして侮れない成り行きだ。 知っててやったわけではないだろうが、“これ”は新人類に対してはひどく効果的な手段である。 壁や、床上の障害物。 そうした物を透過・突破できる能力を新人類は有している。 翻って、倒壊し、落下してくる瓦礫のたぐいは壁でも設置物でもない――対処する必要があるということだ。 今いる場所は地上三階。 落ちて死ぬような高さではないが、上から押しつぶされればわからない。 「きッ―――エエエエエエエエエエエエイ!!」 つまり、対処の必要があるということだ。 反響定位によって、まずは崩れていく瓦礫の位置関係を把握する。 「あっ」 いまの声で崩壊が進んだが。それはそれ。 落下しながら、危険な位置にある瓦礫を打撃と投擲で砕いていく。 飛び散る破片は散弾のようにしてウラハラシザーズにも向かっていくが、どういう理屈か命中することなくすり抜けていく。 「(僕……いや、いつか殺した床人間に近い能力なのかな)」 殺した人間のことをいつまでも覚えているのはちょっと猟奇殺人鬼っぽくないかも。そう思いながら、準備を整える。 「せ、ェ、のォ―――」 手近の、ひときわ大きな瓦礫を足場とする。 崩れてくる瓦礫が危険なら――― 「ケエエェア!!!!」 跳躍。 駅施設から、脱出すれば良いのだ。 巨大な砲弾となって、新人類は駅施設の外壁を突き破った。 「よし、成功!」 「―――くす」 その様子を、ウラハラシザーズはせせら笑って見送った。 「えーんがちょ」 突き抜ければ、そこは再び元の場所――スクランブル交差点だ。 あまり開けた場所は得意ではないが。崩れきってしまえば地上の瓦礫はすべて能力の対象だ。 面白いものが見れて良かった。 今度はこちらからきっちりとお礼を兼ねて片付けて、そのあとガールズトークさんを探そう。 そんなことを考えながら、新人類は交差点の真ん中に―――降り立つことができなかった(・・・・・・・・・・・・・)。 「え」 地面のあった場所とはなんの抵抗もなく。 するりとすり抜けて落下していく。 「え」 「え」 わけが分からず、たまらず手をのばす。 そこはたしかに地中であるはずなのに、手は何も掴まず、どこにも触れないまま空を切った。 「なんっ、えっ、えぇ……!?」 落ちていく。 落ちていく。 崩落時に瓦礫の対応をしていた、その間隙に。 地面や地下構造物一切との“縁を切られた”のだ。 藻掻いても、暴れても、その抵抗は一切無駄だった。 何にも触れず、何の縁も持てないまま。 新人類は、地中深くへと消えていった。その先に、ハリウッドはない。 のそりのそりと。 芋虫のように地を這う。 ほんの十数メートルの距離が、気の遠くなるほどに遠く感じる。 なにしろ腰から下はひしゃげて潰れて切り離されてしまっているのだ。 できれば倍の速度で移動したかったが、意識と命を保たせるのに精一杯の有様で――それも、きっと長くは保たない。 はらわたをひきずりながら、やっとの思いで“それ”に辿り着く。 小型犬用のペットケージ。 ガールズトークの亡骸のもとに。 ひどい女だった。西条なつみは、この女のことが嫌いだった。 震える手で、ケージを開く。 みっしりと、そこにはガールズトーク―――小津夏美が詰まっていた。 引き抜ける気がしなくて、ケージに直接顔を突っ込み、血を啜って、肉を食んだ。 「あぁ………おいし」 かすれた喉から、そう絞り出す。 何しろ罪深い女だ。美味でないはずがない。 兎に角、許せなかった。 一つは愛する家族を、使用人たちを手に掛けたこと。 「美味しい、美味しい」 突きつけることができなかった二つ目の理由は―――己に死と殺人の快楽を教えたことだ。 なつみにとっては、本来それは楽しくはあっても途中経過に過ぎないものだった。 罪の味を楽しむ、その結実があってのおまけに過ぎないものだ。 「嗚呼、美味しい、美味しい、美味しいなあ。夏美」 それを。 彼女の能力は暴力的なまでの苦痛と快楽を、なつみに対して叩き込んだ。 それはひどく。ひどくひどく甘美で。己が見出した罪の味という快楽を遥かに凌駕するものだったのだ。 己の根幹を蹂躙され、あんなにも愛しく罪深かった父はただ殺され、ろくに食されることなく終わってしまった。 ―――罪の味がしなかったのだ(・・・・・・・・・・・)。 それ以上の快楽を知ってしまったがゆえに。 凡百の快楽のうちの一つに成り下がってしまったがゆえに。 こんなにも、罪深いことがあるだろうか! 小津夏美は、こんなにも罪深い。知る限り、コレ以上はないほどに!だから―― 「美味しい、美味しい、美味しい……美味しい!美味しい!美味しい!美味しいんだよぉ……!!」 口の中に、不快な鉄臭さが広がる。 はらわたの臭気が、にちゃりとねばつく脂が、筋張った赤身が引っかかる不快感が。 喉と言わず鼻腔と言わず蹂躙していく。 「美味しい!美味しい!美味しくなきゃあ!いけないんだ!わたし、わた、わたしは、積み重ねたんだから!!」 ―――それだけは、死ぬ前にそれだけは取り戻さなければならない。 「ヴッ…!?」 やがて耐えきれず、どうにか嚥下した彼女の肉が逆流する。 びちゃびちゃと、吐き散らされた。 「ぁ、ああああぁぁぁぁ………」 力なくうなだれ、その吐瀉物をずるずるとすする。 魔人(じぶん)としての原体験が、奪われたまま終わるのが堪えられない。 おいしいおいしいと、うわごとのようにつぶやき続ける。 ――――…ちょきん、と。どこかで鋏の音が聞こえて、やがてそれも叶わなくなった。 「ああ……」 「ママ……」 最期のときはみんな同じことを言うと。 嘲笑ったのは、誰だったか…… 遠くに、サイレンの音が聞こえる。 静観を決め込んでいた(と、兄が言っていた)警察も、こう大事になっては動かざるを得なくなったのだろうか。 「関係、ないわ」 火照った肌を冬の夜風で冷やしながら、ウラハラシザーズは誰にともなく呟く。 ああ、これからどうしようか。 「にいさん」 そういえば、バドー(兄)を動かしているのは、警察だったか。 そう考えると、忌々しい気持ちがないでもない。 だがその兄(バドー)も死んだ。最期に、栞の名前を呼んで。 兄が愛しい。兄が憎い。 兄(バドー)は、この街を守るために殺人鬼と戦い、殺された。殺人鬼が憎い。 バドー(兄)は、そんな仕事のために、浦見栞の兄への思いを利用し、いためつけ、利用した。兄が憎い。 兄が憎い。兄が憎い。兄が憎い。 こんなにも憎いのだから殺人鬼はきっと兄なのだろう。 兄なのだから、殺人鬼たちがこんなにも愛しい。 兄を死地に追い込んだ警察が憎い。 彼らを頼る、町の人間が憎い。 兄のように憎くて、愛しくて、だからきっと兄さんなのだ。 「ふ、ふ、ふふ」 なんだか可笑しくなってしまう。 兄さん、と。口の中で呟いて、あの日々を思い出せばそれだけで心が暖かくなる。 「――――待っていてね」 浦見栞は、すっかり壊れてしまったのだ。 殺人鬼、ウラハラシザーズは、こうして生まれた。 <了>
https://w.atwiki.jp/qujila/pages/353.html
2013/08/10 山田稔明「新しい青の時代」、くじら「ふたりのラジオを鳴らそうよ」発売記念ミニライブ&サイン会 出演くじら杉林恭雄(vocal, guitar) 山田稔明(vocal, guitar)佐々木真里(keyboard, accordion, etc.) 上野洋(flute) 会場タワーレコード渋谷店3F J-POP/J-INDIESフロア イベントスペース Start20 00 Chargefree セットリスト 女たちが泣いているから エリコ みずたま かわいいひと KAPPA 覚書 アルバム発売が15年ぶりということで、当然ながらインストアライブも15年ぶり。そうはいっても気負うことのない、いつもどおり自然体の杉林さんだった。ジョイントイベントということで20分くらいしか時間がないということだったが、控室で山田さんと物足りないという話になり、急遽それぞれ一曲ずつ追加することに。そうはいってもそんなに時間があるわけではないので、ひとりくじらではアドリブ的に長くなることの多い間奏も、やや短めだった。ニューアルバムからの曲がメインだったけど、ヴァラエティにとんだ内容で、くじらの多面的な魅力が出ていたのではないかと思う。最後に「普段お店で歌ったりできないから、みなさんも歌ってみませんか?」と「KAPPA」コーラスをみんなで。 後半登場した山田さんは「Rockin'on Japan」の同じ号にくじらと載ったことがある(「木星クラブ」のときらしい)というエピソードを披露して奇縁に思いを馳せていた。 コメント ライブの感想をどうぞ。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/taikou5hokan/pages/613.html
693:三刀屋久祐 (みとやひさすけ) 生没年?:1516?~1591 1554年 乱麻の章 ? 1560年 日輪の章 ? 1568年 昇龍の章 ? 1575年 覇道の章 ? 1582年 転変の章 ?
https://w.atwiki.jp/hshorizonl/pages/584.html
← 綺麗な桜が一面に咲き誇っていた。 剣鬼が来たる明王の迎撃に赴き、残されたのは少女達と一人の少年。 其処に悠然と姿を現す男が一人在る。 歩いて来た訳ではない。 走って来た訳でもない。 その男は虚空(そら)より現れた。 つむじ風が花弁を巻き上げ、偶々それが人の形を描き上げたように。 そんな幻想小説の一片のような美しさで現れた男こそは、この渋谷を地獄に変えた張本人。 「揃ってるな。手間が省けて何よりだ」 「皮下、先生…」 「おう。久し振りだな霧子ちゃん。何だかんだであれ以来顔を合わせる機会も無かったなぁ」 気さくに片手を上げて挨拶する姿からは想像も出来ないだろう。 この男は何百、何千という人間の命を踏み台にして立っている。 それは何もこの聖杯戦争で築き上げたスコアではない。 妖桜に魅入られて定命を超え、不幸と嘆きを芋蔓式に増やし続け永らえてきた彼もまた一体の化物。 皮下真。旧川下医院の若き院長にして、最強の怪物カイドウの手綱を握るマスターである。 「にしても運が悪いなぁアイ。折角逃してやったのに、こんな前線に出てちゃ駄目だろ」 「…アイさん、死にたくない。だけど……霧子や梨花にぜんぶ任せてじっとしてなんか、いられない……!」 「バカな奴だ。ミズキは何を教えてたんだか。親に恵まれないのは相変わらずらしい」 肩を竦めて視線を外す。 皮下が今此処に居るのはアイの愚かさ、そして優しさあっての事だ。 彼自身その事は理解しているが、しかしそれは自分の求める未来を妥協する理由には成り得ない。 恩は堂々と仇で返そう。 幼い優しさには付け込もう。 目的を叶える為なら不義の一つ二つは何のその。 恥じず悔いず顧みぬ――無慙無愧。 「…こちらこそ、お久しぶりです……皮下、先生。ずっと、また会いたいって……思ってました……」 「俺もだよ。出来れば君が方舟とか言う胡散臭い連中に取り込まれる前に会っておきたかった。 俺みたいな悪人が言うのも何だけど、霧子ちゃんは優しさの塊みたいな子だからなぁ。他のマスターよりずっと楽に取って食えると思ってよ。 葉桜を注入すれば善人ヅラした時限爆弾としても使えるなとか考えてたよ。今だから言うけどな、予選の君は流石に怪しすぎたぜ」 霧子を守るサーヴァントの存在は皮下にとって問題ではなかった。 鋼翼や女王レベルの戦力でもない限り、カイドウの持つ圧倒的武力の前には皆雑兵も同じなのだから。 しかしその当ては外れ、藪医者と医師を志す少女の縁は時現在に至るまで絶たれっ放しだった。 霧子は方舟という拠り所と戦う理由に出会い…既に其処に皮下の奸計が立ち入れる隙間は存在しない。 「方舟の計画を知った時すぐに思ったよ。君の考えそうな事だって」 「わたしだけで、考えたことじゃありません…みんなで、そうしたいねって……そう思えたから」 「不思議なもんでな。他の奴が言ってる分には寝ぼけてんのか此奴らって思うのに、君が言い出したと思うと"霧子ちゃんらしいな"って思える」 「そう…ですか。今言うことじゃないかもしれませんけど…それは、少しだけ……嬉しいです……」 「人殺しに褒められて喜ぶなよ。未来の医者が無辜の犠牲者を蔑ろにしてちゃ世も末だぜ」 皮下真は幽谷霧子という少女の人となりを、同郷のアイドル達程ではないが知っている。 その印象を一言で言うならば『今時珍しいくらい馬鹿正直な善い子』だ。 子供と言っても醜さは必ずある。 承認欲求であったり嗜虐心であったり、或いは純粋な好悪であったり。 眼を輝かせて高尚な夢を語っていた学生が現場の過酷さ、患者のケアの大変さを目の当たりにしてサボり方を覚えていく過程だって腐る程見て来た。 しかし霧子にはそれが無かった。 彼女の立ち振る舞いには一切の影がなかったし、どんな気難しい患者にだって笑顔で根気強く接していたのを覚えている。 その非凡さもまた皮下が霧子を怪しんだ理由の一つだったのだが…閑話休題。 「あの…聞いてみても、いいですか……」 「勿論。どう転ぶにせよこれが最後なんだ、遠慮なく何でも聞いてくれ」 「…先生は、どうして……界聖杯さんを、求めているんですか……?」 霧子の問いに皮下は僅かな逡巡もなく返した。 いきなり答えを突き付けるのではなく、まずは問い返す。 「霧子ちゃんは、人を好きになった事ってあるかい?」 「それは…まだ、です……アイドルなので……」 「はは、そっかそっか。アイドルってのはそういう仕事だもんな。野暮を言っちまったか」 頭を掻いて。その双眸に桜の紋様を灯し、皮下は続ける。 「俺は…多分あるんだ。いや、もしかしたらその手の情じゃあないのかも知れないけどな。 百と余年生きて来て、今も忘れられない……片時も忘れた試しのない出会いがあった。 綺麗な、綺麗な花さ。近付き過ぎて魂まで取られちまったが、まぁ、実の所あんまり後悔はしちゃいない」 これを愛と呼んだ女が居た。 そう言って皮下が眼を向けたのは神戸しお。 かつて彼に愛(こたえ)を教えた女の片翼だった。 「別に夫婦になりたくて手を差し伸べた訳じゃないがな。実際面倒だと思った事もあったし、貧乏籤引かされたと思った事も数知れない」 「……」 「霧子ちゃんは医者志望だろ。だったら一つ意見を聞いてみようかな」 松坂さとう――皮下の感情に名を与えたのは今は亡き彼女だ。 砂糖菓子の少女。 燦然と輝く、燃え尽きるような愛を貫いて生き抜いた女の言葉が今も爪痕となって皮下の心に残り続けている。 ずっと名前のない感情でしかなかった"それ"が輪郭を帯びた途端、これまで静かに鼓動していたその情念は打って変わって皮下を蝕み始めた。 これが愛。 誰かを想うという事の烈しさか。 噛み締めると共に決意は強まった。 必ず果たさねばならない。 この愛だけは、何を犠牲にしても貫き通さねばならないと。 「安楽死問題についてどう思う?」 「…、それは……」 「現代医学は完璧には程遠い。結核や癌はある程度治せるようになったし、エイズだって極限まで発症を遅らせられるようになった。 だが現実問題、手出し出来ない病気ってのが相当数あるのは無視する事の出来ない現実だ。 筋ジストロフィー、ALS……末期癌なんかも含められるな。後は先天性の染色体異常なんかも人の手じゃまだどうにも出来ない。 霧子ちゃんはそうした現実的に救いようのない患者に対し、慈悲を以って死を下す事は正しいと思うかい」 「……いっぺんに」 何故急にそんな話に、という困惑は多少あった。 けれど霧子は皮下の言う通り医者を志す身だ。 逃げてはならないとそう思った。 だから自分が今までに得てきた知識と勉強した内容、それらを踏まえて自分の中に構築した考えを辿々しくしかし確かな声で並べていく。 「いっぺんに、肯定も否定も…するべきじゃない事だと、思います……。 人の命はとても大事で、かけがえのないものだけど……ずっとずっと苦しくて痛いまま、自由がなくて辛いまま…… ルールなんだから生き続けろって言うのは、あんまりだとも……思うから。 わたしはまだ、先生のその質問にちゃんとした答えは出せそうにないけど…わたしなりに答えるなら、こんな感じです……」 「うん、悪くない。というか満点回答だな。まさにその通り、医者はそれに肯定も否定もするべきじゃない。 偉そうな顔して椅子にふんぞり返りながら御高説垂れるバカよりよっぽどマシだ」 皮下は笑って頷く。 「人の生き死には何処まで行っても個人の宗教観だ。明確な答えなんて百年議論したって出ないさ」 霧子ちゃんは良いお医者さんになれそうだな。 そう笑って言う姿は、まさに教え子を見る教師のようでもあり。 だからこそ次にその口から出た言葉の剣呑さは一際光っていた。 「俺の願いは愛する者の死だ。何百年と頑張って生きて来た患者に、そろそろ安息をくれてやりたくてな」 「っ」 皮下は愛を知った。 いや、自覚した――と言うべきか。 砂糖菓子の少女に感情を名付けられた。 しかし彼の願いは永遠とは異なる。寧ろその真逆だ。 愛するからこそ死なせたい。 死なせてやりたいというその気持ちが、覚醒(めざ)めた彼を突き動かす燃料に他ならなかった。 「記憶や人格の連続性が損なわれるなんてのはまだマシな方でさ。 酷い時は人の形すら保てない。全身の細胞が活性と自壊を繰り返す無限地獄だ。 おまけに定期的に毒親が訪ねてきて体を切り取ったり抉ったりと忙しない。 只消費されるだけの時間を、死ねない体で生き続ける事に何の値打ちがある」 霧子は何も言えなかった。 圧倒されていたからではない。 彼女は優しい娘だ。 お日さまのように眩しく暖かく、万人を分け隔てなく照らす光だ。 そして誰かを救う道に進めるだけの頭があり、努力も重ねている。 それら全ての要素を持つからこそ――何も言えなかったのだ。 不用意な慰めや同情の言葉を此処で吐く事がどれ程無責任で残酷な事かが解ったから。 「だから俺は聖杯に願うんだ。君達の命を祭壇に捧げて、俺の細腕じゃ到底切り倒せないあの桜を絶やしてやるのさ」 「……」 「ま…そういう訳だ。期待させてたなら悪いが、俺はどうやったって君の方舟には傅かない。 その為の"夜桜事変"だ。その為の"夜桜前線"なんだ。此処で聖杯攫わなきゃ、死んでいった飲み友達にも笑われちまう」 皮下が思い描いたのは眼帯の青年だった。 間違いなく敵だったが、しかし何処か憎み切れなかった男。 彼はもうこの世に居ないが、皮下にも人でなしなりに多少の義理を見せてやるくらいの甲斐性はある。 願いを叶えられなかったあの男がハンカチを噛みながら血涙流すくらい見事に、俺は本懐を遂げてやろうと。 そう思うからこそ夜桜事変の黒幕は揺るがないし変わらない。 愛という不変で以って、方舟の少女と相対する。 「わたしは…」 皮下の言葉を咀嚼するのは並大抵の事ではなかった。 百余年の思いが軽い訳がない。 愛するが故に殺す、その覚悟が生半可な訳がない。 敵は敵と割り切ってしまうのが最も単純な解決法である事に疑いの余地はなく。 しかし幽谷霧子は――幽谷霧子であるが故にそれをしなかった。 真正面から受け止め、咀嚼し、飲み込んでその上で口を開く。 「わたしは…先生に殺されてあげることは、できません」 「そりゃそうだろうな」 「でも……先生のその気持ちが、間違いだって…そう否定する気にも、なれません」 命は差し出してあげられない。 けれどその気持ちはきっと間違いなんかじゃない。 「実は…ずっと知りたかったんです。先生が何のために戦ってるのか……何のために、命を奪うのか……」 幽谷霧子は優しい少女だ。 アイドルのスター性ともまた違う輝きを放つお日さまだ。 そんな彼女は、過去に縁のあった敵の事を"そんな人も居たな"と片付けられる程利口な思考回路をしていなかった。 ずっと考えていた。 思い出しては思いを馳せていた。 皮下真――予選期間を共にした彼の心と願いについて。 そして答えが出た今、霧子が覚えた感情は…安堵。 「先生は、すごいお医者さんだから……」 一方の皮下は狐につままれたような気分にならざるを得なかった。 目前の少女が何を言っているのか、本気で解らなかったからだ。 この状況で出て来る言葉か、それが。 今から殺し殺されの命のやり取りをしようとしている相手に掛ける言葉か、それが―― 「先生は…どんな人にも、いつも笑顔で診察をしてました……。 赤ちゃん、妊婦さん、おじいさん、おばあさん、にぎやかな人も人見知りさんにも…いつも、笑ってた……」 「建前だよ。解るだろ、ちょっと考えたら」 「それでも…患者さんにしてみたら、皮下先生は……優しくて、とっても頼れる……素敵なお医者さんだったと思います……。 病気になって病院に来る人って、みんなすごく不安だから…先生みたいな人に診察して貰えたら、安心すると思うんです……」 端的に言おう。 皮下真は幽谷霧子を甘く見ていた。 類稀な優しさを秘めた、お人好しな女の子とその程度にしか思っていなかった。 ――たかだか"類稀"という程度で、地獄に堕ちた剣鬼を照らせるものか。 「こんなお医者さんになろうって、わたし…皮下先生を見て、そう思ったから……」 「……」 「だから、先生が…先生の持つ願いごとが、誰かへの優しさに溢れたもので……わたし、なんだか安心しちゃって……」 でも、と霧子。 ぺこりと頭を下げる。 「ごめんなさい…わたしは、みんなのことを裏切れないし、捨てられません……。 だから…わたしの気持ち、わたしの大切な人たちの気持ち、ぜんぶ込めて……先生に、ぶつけます……」 「は――いいね。ちょっと見ない間に一皮剥けたみたいだ」 霧子は手を差し伸べはしなかった。 彼女はもう、無垢に融和だけを夢見る子供ではない。 聖杯戦争とはその名の通り戦争なのだ。 譲れない願いを持って戦う者と、皆で手を取り合って帰りたがる者とが完全に解り合える道理など端から有りはしない。 解り合えない相手は必ず居る。 好悪とは別として、どちらかが潰えるまで戦わねばならない相手というものがこの世界には存在する。 それは霧子にとってとても悲しく寂しい事だったが。 それでも…優しい陽光は、自分の考えに適応出来ない者を癇癪に任せて灼き苛む事を選ばなかった。 目を見て話を聞く。 そうして理解する。 敵対するしかないとしても。 どちらかしか生き残れないのだとしても…せめてそれだけは、この世界に共に存在していた器(なかま)として譲りたくなかった。 「初めて君等の事が少しだけ好きになれたかもだ。綺麗事にも質があるな」 「それは…不謹慎ですけど、ちょっとだけ嬉しいです……。みんな…わたしの、大事な人たちだから……」 「ま、それも含めて全部これから俺が殺す訳だけどな」 これにて対話という名の対決は終了。 勝者無し。敗者もまた、無し。 「残念だよ。出来れば君には、俺みたいなロクでなしとは関わらずに生きて欲しかった」 皮下の輪郭が揺らぎ、より怪物らしく桜の花弁を撒き散らす。 それに合わせて前に躍り出たのはチェンソーの少年だった。 否、サーヴァントである以上は『ライダー』というクラス名で呼ぶべきか。 「話終わったかよ。じゃあそろそろ殺すぜ藪医者野郎」 「スーパードクターに向かって人聞き悪いな。霧子ちゃんのお墨付きだぜ」 霧子の五体を引き裂かんとした桜の枝葉がチェンソーの前に木片と化す。 次の瞬間、やや遅れて霧子を抱きかかえたのはアイだった。 黒死牟が単独でカイドウの迎撃に出た理由は、必ずやマスター狙いで顕れるだろう皮下への対処の為だ。 「ていうか良いのかよ。お前とそこのおチビちゃんは連合側だろ? 方舟のクルーが死ぬ分には得しかない筈だろう」 「あぁ? …スーパードクターってのは寝ぼけた脳ミソしてんだな。おいしお、言ってやれよ」 箱舟と連合が相容れる事は決してない。 其処に関しては皮下の言う事は十割正しい。 にも関わらずデンジが、そのマスターである神戸しおが箱舟に与する意味があるとすれば。 それは―― 「お医者さん、さとちゃんの敵だったんでしょ?」 彼女は皮下が啖呵を切った愛の片割れだから。 彼が率いた戦線の一員であるリップ=トリスタンが殺めた女の片翼だから。 「だったらまずはあなたから。さとちゃんのかたき、取らないと」 「…やれやれ、こりゃ参ったな。いつの時代も"愛"に勝る地雷はないらしい」 射竦める蒼瞳に皮下は肩を竦める。 言葉で懐柔出来るとは思っていたが、自分の踏み付けていた地雷の想像以上の大きさに恐れ入った。 されど臆病風に吹かれはしないし、勝利を疑う心も欠片もない。 サーヴァントと虹花の生き残り。 マスター一人で受け持つには過剰と言っていい戦力を前にしながらも皮下は微塵とて怖気付いてはいなかった。 理由は一つ。勝算があるからだ。 「とはいえ、中身がお前なら俺で十分事足りる」 「随分自信家なんだな。俺ぁこう見えてもヒーロー呼ばわりされた事もあるんだぜ」 「種は割れてる。中身を交代するにはリソースが要るんだろ? さしずめ令呪一画で一回の交代って所か。 で…そっちのロリっ子ちゃんの令呪は残り一画。そりゃマスター相手には切れねえよな、此処で切ったら後が無くなっちまう」 皮下真は超人だ。 最初からそうだった。 ならば万花繚乱の境地に至った今の彼はさしずめ魔人か。 その戦闘能力は下手なサーヴァントであれば片手間に蹴散らせる程度には高い。 「唯一怖かったのはおっかない顔の剣士君だった。けどそいつは総督の所に向かって…どうやらもう死にかけらしい」 霧子の表情が強張る。 そう、皮下にとって厄介な存在はデンジではなく黒死牟だった。 流石にあのレベルの技量を持つサーヴァントが相手となると危険が出る。 しかし彼はカイドウの迎撃に出ていて不在。 鬼の居ぬ間に何とやらではないが、今この場に皮下の跳梁を止める事の出来る者は存在しない。 デンジは"交代"さえ起きなければ勝てない相手ではない。 アイに至っては言わずもがなだ。 以上を以って皮下は勝算を見出した。 此処で箱舟のクルーと、かつて自分の前に立ちはだかった"愛"の残骸を抹殺する。 もしもデンジが"交代"するようなら令呪でカイドウを呼ぶ。 その選択肢の存在が、目前の敵勢力を抑える"縛り"にもなる。 「俺は夜桜だ。燦々眩しいお日さまにはご退場願おう」 対話の時間は此処まで。 桜の咲く、夜が来る。 皮下を中心に育ち殖えていく夜桜の樹海。 霧子やしお、アイはおろかデンジでさえ貫かれれば危ういだろう吸精の妖樹。 他人の命を吸い上げて肥え太る血塗れの歴史を象徴するような花咲く災禍が顕現する。 「下がってろ、しお」 「まって、らいだーくん」 踏み出そうとしたデンジを制したのはしおだった。 足を止める理由が思い付かない。 そんな彼をよそに、しおは指差す。 桜のカーテンのその向こう。 微かに生まれた揺らぎの方を。 「だれか、くるよ」 …花嵐が裂ける。 全てを呑み込む春が、新たな春を受け入れる。 白く染まった頭髪と肌。 皮下のように、身体中から咲き乱れては消えていく桜の花弁。 その姿は霧子達の知る"彼女"のものとはかけ離れていたが。 しかし解る。 伝わる――彼女の名が。 どんなに変わり果てようと、その双眸に宿る光は紛れもなく霧子が、そしてアイが知る少女の物だったから。 「梨花…ちゃん……?」 「みー。心配かけてごめんなさいなのです、霧子、アイ」 古手梨花。 ずっと離れ離れになっていた箱舟のクルーの一人。 久方振りの再会に霧子達が覚えたのはまず安堵。 そして、困惑。 彼女の姿はあまりに自分達の記憶にあるそれと違っていたから。 何があったのか。 何をしようとしているのか。 聞きたいことは山程あったがしかし悠長に問答をしている暇はない。 久闊を叙する事を桜の魔人は許してくれないからだ。 皮下の視線と梨花の視線が――二つの桜が交差する。 「よ。痴話喧嘩は終わったのかい」 「お陰様でね。ちゃんと終わらせて来たわ、私達の因縁は」 「無理すんなよ。立っているだけでも辛いだろうに」 古手梨花は夜桜の血を流し込まれて超人と化した。 彼女は先祖の血縁と百年の因果を以ってその血を扱いこなしたが、それでも完全な適応を果たした訳ではない。 それどころか血の酷使は梨花の残り時間を更に早める結果を齎した。 北条沙都子との決着を着けた彼女の"その時"はもうすぐ其処にまで迫っている。 体内器官は再生と崩壊を絶え間なく繰り返し、皮下の言う通りこうしている今も地獄の苦痛に苛まれ続けていた。 「…そういう訳にも行かないのよ。約束してしまったもの」 「やれやれ。俺はアンタの為にやってるんだがな…上手く行かないもんだ」 肩を竦める皮下の言葉は梨花に向けられたものではなかった。 彼は、梨花の体に何が起きたのかを理解している。 まるで生き写しのように変わったその外見が何よりの証拠だ。 血の中に混じっていた"始祖の桜"…皮下のよく知る彼女の"良心"。 古手梨花はそれと接触し、血の力を引き出すに至ったのだとすぐに悟った。 であれば。梨花が始祖とどんな約束を交わしたのかには察しが付く。 “安定してる時のアイツは優しいからな” とはいえやるべき事は何も変わらない。 皮下真は、"夜桜前線"は揺らがない。 古手梨花を見据える視線にその意志を籠める。 梨花は身動ぎ一つせずにそれを受け止めた。 「あんたには言いたい事も溜まってるものも山程あるのよ。この機にかこつけて、全部ぶつけさせて貰うわ」 「そりゃ怖い。ぶん殴られるくらいじゃ済まなそうだ」 双方、瞳に桜が宿る。 開花は最早前提だ。 此処に居るのは夜桜の使徒二人。 共に始祖の血を宿した、繚乱の子等。 “…逃げる事はまあ、出来るな。死にかけの夜桜一人程度ならやり過ごせるしそれが賢明だ。 もしも本当に梨花ちゃんがアイツを……つぼみを宿してるって言うんなら、どんな無茶苦茶が出て来るか解ったもんじゃないからな” 皮下は考える。 利口なのは時間稼ぎだ。 何が飛び出すか解らないびっくり箱に本気で向き合うなんて馬鹿げている。 やり過ごして、躱して、力を温存する。 桜が枯れてから改めて箱舟の誅戮に臨む。 最適解はそれだ。 そう確信している。 解っている、その上で―― 「俺も…、甘ぇな」 皮下はそうしなかった。 不合理にして愚か。 その自覚を抱いた上で、敢えて目前の因縁に向き合う。 これは彼にとって不要な戦いだ。 黙っていても古手梨花は死ぬのだから。 偶々つぼみと繋がれた幸運な桜は枯れ果てるのだから。 にも関わらずそうした理由を、一言で形容するならば。 「いいよ。やろうか――古手梨花。元を辿れば自分で蒔いた種だ。責任くらいは持つとしよう」 「上から目線ね。悪いけどもう逃さないわよ、皮下真。…私と、彼女の抱える全部。これからあんたにぶつけてあげる」 ――愛、と。 そう呼ぶべきなのだろう。 「始めましょう。"夜桜事変"を」 ◆ ◆ ◆ 人外魔境渋谷決戦・『昼夜決戦』 ――勝者無し 次幕『桜花決戦・裏』 ――"皮下真"対"古手梨花" ◆ ◆ ◆ 『田中ってさ』 「なんだよ」 『私(アイ)の事好きだったの?』 「ぶっ…げほっ、ごほっ……! お…お前、いきなり何言うんだよ」 『うわ図星っぽい反応。もしかして正鵠、ヘッドショットしちゃった?』 「…んなわけねえだろ。夢見るにしても相手選ぶわ」 『そんな事ないでしょ。現場でよく見たよ、田中みたいな人』 「それがフォローになってると思ったら大間違いだからな。後お前は現場(ステージ)立った事ないだろ」 『記憶にはあるもーん。私(アイ)は結構好きだったみたいだね、この仕事』 「だろうな。そうじゃなきゃ彼処まで貫けねえよ」 『私は好きとかそういうのじゃないから、ちょっとだけ羨ましいな。私にとってアイドルは仕事じゃなくて、役割だからさ』 「…、で。お前、なんでいきなりそんなトンチンカンな事言い出したの」 『え? だって田中、私(アイ)に未練タラタラみたいだから』 「……やっぱそう見える?」 『うん。たまに私の事じっと見てるし、正直結構キモいかも』 「悪かったな。…仕方ねえだろ、自分が殺した人間が起き上がって隣に居るようなもんなんだから。俺は凡人だから、そう簡単には慣れられない」 『人殺したの、私(アイ)が初めて?』 「いいや。二人目だ」 『あはは、立派なシリアルキラーじゃん』 「まあな。…やっぱりさ、命の価値ってのは誰しも等価じゃないんだなって思ったよ」 『難しい話? それ』 「簡単な話。顔見知り殺すのは、やっぱ違うわ」 『ま、そりゃそうだよね』 「…お前、あの人の記憶引き継いでんだよな」 『そうだよ。まあ、あくまで記憶として持ってるだけだから…信念とかそういうのは抜けちゃってるけど』 「なら知ってるだろ。俺はさ、あの人に救われたんだ」 『ああ。なんか言ったんだっけ、私(アイ)』 「お前じゃなくても…本物のアイさんでも、そんな程度の印象かもしれない。 実際あの人は、別にそんな熱い気持ち込めて言った訳じゃないんだろうし。 でも……それでもさ。あの時の俺には…適当でも何となくでも、兎に角必要な言葉だったんだよ。ありがとうって、言いそびれちまった」 『そっか。私は私(アイ)じゃないけどさ』 「うん」 『田中がそう言うんなら、代わりに受け取っとくよ』 「…ありがとよ。偽物に言うのも何だけど」 『細かい事は気にしない。で』 「で?」 『ちょっとはスッキリした?』 「そこは"元気出た?"だろ。アイドルなんだから…、……まあ。確かにスッキリはしたかも」 『なら良かった。元気の方はどう?』 「そっちは間に合ってる。ムカつくけどさ、あのクソガキと戦って…見事に一杯食わされて、ちょっと目が覚めたんだ」 『すっごい子だったよね。あれまだ高校生かそこらでしょ? 死柄木君といい若者の人間離れは深刻ですなぁ』 「あぁ。アイツの事はよく知らないけど…凄い奴だと思うよ。多分俺じゃ逆立ちしてもああはなれない」 『田中だもん。すぐ凹むしヘラるしベソかくし』 「う、うるせえな…言うなよ。俺だって気にしてんだから」 『あはは。ちょっと可愛いかも』 「…兎に角。俺はさ、どうやってもあんな化物にはなれないんだ。 俺は俺のままで、何をするかで俺の価値を証明しなくちゃならない。 そうしなきゃ俺はいつまでも……消しゴムやソシャゲに命懸けてた頃のままだ。それで敵(ヴィラン)なんて名乗れやしないだろ」 『……』 「こう見えてさ。のめり込む事には自信があるんだ」 『消しゴムとかソシャゲとか?』 「そう。一回のめり込むと周りが見えなくなるし、後先も考えられなくなるんだよ。 …まぁ多分何かの病気だな。そういう病院に行けば診断書の一枚でも貰えると思う」 『じゃああれだ。田中は今、連合(わたしたち)にのめり込んでるんだ』 「寧ろこれから、かな。…自分でも情けなくなるくらい回り道ばっかりして来たけどさ。 峰津院の事だってそうだ。俺、昔――つっても昨日だけど。拳銃一丁であのガキにカチコミかけようとしてたんだよ」 『…自殺志願?』 「自分でもそう思う。今はな。けど、実際峰津院への突撃は一日遅れで果たせた訳だろ。結果はああだったけど」 『惜しかったねー。それなりに効いてた筈だから、もうちょっと入念にプランを立ててたらいけたかも』 「つまり俺は、ようやっと自分がやろうとしてた事が出来る所まで来れたんだよ。 で…峰津院にはしてやられたけど、アイツのお陰で一番大事な事にも気付けた。これで多分、ようやっとスタートラインだ」 『田中ってさ』 「なんだよ」 『めっちゃ真面目だよね』 「…そうか? ダメ人間だろ、自分で言うのも何だけど」 『そんなあれこれ悩んで考えて、一歩進んでまた一歩戻ってさ。見ててじれったくなるくらい真面目に見えるよ』 「そういう生き方しか出来ないんだよ。さっきも言ったろ。俺は峰津院のアイツや…死柄木みたいには生きられないんだ。 無理して勢い任せに走り出すのは出来なくもないけど、そんな付け焼き刃が持つ価値なんてたかが知れてるって此処に来て痛い程解った。 この一日半で、俺が握り締めてたナマクラの刃は一本残らずへし折られちまった。 俺の『田中革命』なんて此処じゃ何の意味もない。キチガイに刃物持たせて無双出来る世界観じゃないんだもん、当然だよな」 『それはそれで需要あると思うけどね。私(アイ)は実際、元の世界じゃそれで死んでるわけだし』 「お前さ、峰津院やカイドウにナイフ刺して殺せると思うか?」 『…次の瞬間には田中のたたきが完成してそうだね。ポン酢としょうがが合いそう』 「要するに『田中革命』は大人の事情で打ち切りって事。もう一回始められる気もしないしな」 『ふーん。でもなんか残念だなぁ。私は結構好きだよ、私の陰に隠れてイキイキしてる田中も』 「オブラートに包めよ。…俺の『革命』は、アイツに全部預ける事に決めたんだ」 『アイツって? まぁ、聞かなくても解るけど。一応聞いてあげる』 「死柄木弔。俺とお前の王だ」 『ですよねー。言うと思った』 「アイツは…本当に凄い奴だ。峰津院もカイドウも、誰だって及びも付かないって断言出来る。 死柄木なら……俺の革命(こころ)を引き継いでくれる。アイツが創る地平線が、俺にとって最高の『田中革命』だ」 『あんま無理しちゃ駄目だよ。田中はすぐ背伸びするし、その分ツケ食らってゲロ吐きそうな顔するのがお決まりなんだから』 「ゲロくらい幾らでも吐いてやる。もう一度、あの地平線を見られるなら」 『頑張るねぇ。でもそれなら私も一安心だ』 「なんでだよ」 『だって死柄木君は私にとっての創造主(パパ)だから。田中が聖杯を狙うってなったら、私はパパの方に着かないといけなくなるでしょ』 「…ああ、そういう。確かにお前、死柄木の子供みたいなものだもんな」 『そうそう、だから安心したの。田中を殺したらさ…なんかこう……後味悪そうだし。 犬とか猫とかを思いっきり蹴って殺しちゃったみたいな、そんな気持ちにはなりそうだから』 「……お前、やっぱり俺のこと舐めてない?」 『舐めてないよ。可愛いなって思ってるだけ』 「それを舐めてるって言うんだよ巷では。一応人様のガワ被ってんだから、人間らしくしとけ」 『はいはい。マスターの言う事には従いますよー……っと。あ、これも覚えたよ。次は何聴けばいい?』 「あー。今何曲目だったっけ」 『三倍速で十三曲目。そろそろアルバムが一個出せそうだね』 「流石だな。アイドルを基にしたホーミーズだから、曲覚えんのも速いのか」 『まぁね。…でも本当にこんな事して意味あるの? さっきみたいに適当に声張り上げるだけでもちゃんと戦えるよ?』 「流石にアイドルの攻撃方法が奇声ってのは拙いだろ。…まぁそれは冗談として、意外とシナジーあったりするんじゃないかなと思ってさ」 『そういうもんなのかな』 「なんでお前が解らないんだよ。解っててくれよ」 『だって赤ちゃんなんだもん。田中がそうしろって言うんなら従うけどさ。これだけ覚えたらカラオケで無双出来そうだね』 「戦場で無双してくれ。…で、何か気に入った曲とかある?」 『んー。ちょっと待ってね』 「……」 『……』 「…………」 『…………あ』 「決まった?」 『これかな。四番目に聴いたやつ』 「…これ?」 『うん、これ』 「『ヒカリのdestination』。…イルミネーションスターズって奴らのか。何処がツボにハマったんだよ」 『んー。特にないかな』 「…お前な…」 『でも、なんかそれが一番ビッと来たんだよね。何でだろ』 「……まあいいや。じゃあ、残りはそいつらの曲聴いててくれ。何倍速まで聴き取れる?」 『何倍でも。田中の方こそ、私の事舐めないでよね。――私、アイドルのホーミーズだよ?』 「そっか。なら頼むよ、最高速度で記憶してくれ」 『オッケー。頑張って記憶(レッスン)するね』 「……」 『……』 「…………」 『…………』 『――出来た。全部覚えたよ』 「ああ、お疲れ。…こっちも色々考えが纏まった」 『色々調べてたもんね。私に曲聴かせながら自分はグーグルフル稼働。忙しいなぁって思って見てた』 「こっちは必死なんだよ。トチったら最悪死ぬんだから」 『で? 田中は私に何をさせたいのかな』 「お前さ」 『うん』 「エコーロケーションって奴、出来る?」 『日本語訳からお願いしたいかな』 「…声を出して、その反響で周りの物や地形を探知するんだ。クジラとかコウモリがよくやるんだってさ」 『いくらアイドルの血から出来てるからってコウモリ呼ばわりは傷付くなぁ』 「良いから。出来るのか出来ないのか答えろよ」 『多分出来るんじゃない? アイドルのホーミーズってさ、要するに音のホーミーズみたいなもんだから。音で出来る事は大体出来ると思うよ』 「出来れば超音波くらい甲高い声でやりたいんだよな…そっちはどう?」 『ああ、それはいけるよ。ていうか峰津院君と戦ってる時もそれで揺さぶりかけてたし。実は』 「…解った。そっか、出来るのか……それが出来るなら大分変わってくるな……、……」 『ありゃりゃ、ブツブツタイムに入っちゃった。オタクだねー』 「――駄目だ、悪いけどお前も考えてくれ『アイ』。頭痛くなってきた」 『私そういう頭使うのはさっぱりだよ。オリジナル譲り』 「猫の手でも借りたいんだよ! 悪巧みはお前のお得意だろ…!?」 『遠回しに悪女って言われちゃった。…しょうがないなぁ、出来る範囲でだよ? で、田中は何しようとしてんのさ』 「…海に落とす」 『え?』 「夢見てる奴ら、全員海に落とすんだ」 「死柄木の地平線に、余計な船なんて必要ない」 「俺とお前であいつらを全員殺す。死柄木が暴れ出す前の前哨戦だ」 ◆ ◆ ◆ ――箱舟を守るサーヴァントの一人、メロウリンク・アリティ。 彼は抜け目のない男だ。 283プロダクションの"プロデューサー"と相対するに当たって、周囲に"結界"と呼んでも差し支えないだけの防衛線を構築してあった。 実際にはプロデューサーはにちかとの会話で答えを得、只穏やかに滅んでいく事を選んだ為使う機会はなかったが。 逆に言えば事がそうならなかった場合…狛犬が狂犬のように暴れ狂った場合。 それを想定して、いつでも最悪の事態に対処出来るだけの備えはしてあった。 古典的なブービートラップを基礎にしつつ"犯罪卿"が遺した自分用の重火器の類もふんだんに活用した二重三重の防衛線。 大袈裟でなくサーヴァント相手にさえ通用するだろう罠が、少女達と愚かな男の決着を取り囲んでいたのだ。 彼女達と彼の結末に誰も横槍を入れられないように、という意味も込めての備え。 事実それは、仮にプロデューサーが猗窩座を呼ぶという最悪の行動に出た場合でも対応出来るだけの水準に達していたが。 だが――ひとつの物語に緞帳が降りる傍らで"それ"は着々と進行していた。行われていた。 『お前さ。エコーロケーションって奴、出来る?』 エコーロケーション。 声音の反響を用いての状況把握。 人間でそれをやるのは常人の感覚ではまず不可能。 だが『アイ』はアイドルのホーミーズ。 彼女を生み出した死柄木自身でさえ予期しなかった事だが、彼女は自称する通り、ほぼ音のホーミーズと言っていいだけの万能性を宿していた。 先代であるビッグ・マムが世界最高の歌姫の遺体を用い同じ事をしたとして、このように上手くは行かないだろう。 英霊の力は因果因縁に引っ張られやすい。 死柄木弔は個人の"個性"が良くも悪くも尊重される世界に生を受け、そして呪いのような"個性"を授かった。 だからこそアイドルという存在が――ひいてはオリジナルである星野アイが持つ個性が、ホーミーズ化した際に強く表出した。 それは思わぬ誤算であり。 そして田中一という男が、星野アイという偶像の聖性を信用しているが故に辿り着けたマスクデータ。 超音波レベルにまで研ぎ澄まされた『アイ』の声は誰にも聞こえぬ最大音量で渋谷の街を駆け巡った。 しかし誰にも気付けない。 アイドルの少女達は勿論の事、サーヴァントにさえそれを聞き取れた者は一人も居なかった。 英霊の知覚能力をすら超えて響き渡る歌姫の反響(エコー)。 『アイ』の声は瞬く間に渋谷に存在する全ての生命体の位置と魔力反応・生命反応の大きさを炙り出し。 メロウリンク・アリティが張り巡らせていた無数の罠の存在をも克明に描き上げた。 であれば後は何も難しい事はない。 サーヴァントにも匹敵する身体能力。 にも関わらず、人間を素材にして出来た事実上の『星野アイのホーミーズ』である為に放つ魔力反応は人間と変わらない程の極小。 アサシンクラスの気配遮断…程度は劣るが、"術師殺し"の天与呪縛にも似た存在単位での迷彩を施しながら『アイ』は駆けた。夜闇に躍った。 爆弾を壊し地雷を壊す。 ワイヤートラップを引き千切り、火炎放射器を蹴り砕く。 エコーロケーションにより寸分の狂いなく正確に座標を把握出来ている以上、メロウリンクのトラップフィールドは彼女のステージも同然だった。 結果として――時間にして三分足らずの内に全てのトラップを破壊。 誰も知らぬ間に、少女達は丸裸に変わる。 「俺が望むのは地平線だ」 田中一は、メロウリンクの存在等知らない。 箱舟にゲリラ戦のエキスパートである傭兵が在籍しているなんて知る由もなかった。 彼がやろうとしたのは位置把握。 死柄木の敵が何処に居るかを知ろうとしただけ。 余りに愚直。 余りに凡庸。 しかしその平凡さが――此処では最高の結果を生み出す。 「死柄木の地平線に…箱舟(おまえら)は要らない」 彼は端役だ。 奈落の底で蠢いているのが相応の虫だ。 アイドルに並ぶ資格はなく。 石ころ、どんぐりでさえ彼にはきっと過ぎた役柄。 しかし。 この界聖杯は、あらゆる可能性を許容する。 「皆殺しにしてやるよ。さあ――俺達の『田中革命』を始めようぜ」 革命の狼煙は上がる。 悪の憧憬だけを載せて。 狂気のままに物語はあるべき形を取り戻す。 死を孕む一番星が、断頭台となって輝く色彩を切り裂いた。 ◆ ◆ ◆ →
https://w.atwiki.jp/frontlineinformation/pages/58.html
スカービ渋谷 ~砂上の激凸 ~ 地形は「戦線突破」と同じで、施設の種類と設置場所のみ変更されたマップ。 正式発表前は「夜マップ」と呼ばれていたが、どちらかといえば早朝の雰囲気であり、うっすらと霧がかかっている。 細長い渋谷の街が全て戦場で、全ての戦闘スペースを挟んだ両側にベースがある。 所々に大きい岩や建造物があり、起伏・障害物に富む。 北側ベースがGRF、南側がEUSTのベース。 なお、プレイヤー数の最大は7vs7に制限されている。 ゆっくりとした展開になりがちな旧ブロアと異なる、キルハウス的ガチ殴り合いマップである。 全体図 imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 ※画像提供:BORDER BREAK ボーダーブレイク 92GP 202氏 設置施設一覧 プラント A・C両プラントは道の中央に、かつ、大幅にプラントB寄りに移動。榴弾から身を守ることは出来ないが、自動砲台が追加設置された。 プラントBは中央からカタパルトのあった足場寄りに移動している。なお、足場の上からも制圧可能になっている。 リペアポッド A・C両プラント後方に一基ずつ、ベース後方に2基ずつ カタパルト プラントB横の足場の上のカタパルトは削除。「戦線突破」でA・C両プラントがあった位置からこの足場へ向けてのカタパルトが追加設置 また、両ベースの入口側に置かれていた足場側のカタパルトが一台ずつ撤去。逆側のカタパルトは足場側に向けてマップをクロスに射出されるようになっている。 リフト プラントB横の足場へ向かうものが、「戦線突破」同様に健在 自動砲台 A・C両プラントの前後に、プラントBに向けて追加設置されている。ベース前にも2台追加設置され、合計で各陣営6基ずつ レーダー施設 「戦線突破」同様、ベース奥に健在。ただし配置が脇から中央に変わっている ガンターレット 「戦線突破」でリペアポッドがあった位置に1台設置。 両ベースの足場側に、1台ずつ追加設置 戦術 (以下、要検討&推敲) 「戦線突破」に比べ、プラントB横の足場からカタパルトが削除された結果、カタパルトによってベースを奇襲することは出来なくなった。 反面、以前A,Cプラントがあったところに足場へ直行できるカタパルトが増設されたため、中央への移動は容易になった。 敵ベース前プラント(A,C)を奪取しての正攻法か、プラントB左右高台からの強行突破が主な戦術になる。 今回、~砂上の激突~では~戦線突破~に比べてプラントBの価値は大きく下がっている。 これは新設カタパルトにより中央への移動が容易になったため、Bからのリスポンに余り魅力がなくなったこと、また足場カタパルト撤去により『Bを制圧する(される)』=『延々コア凸できる(される)』、では必ずしも無くなったことが大きな理由である。 補給拠点であったリペアポッドが新A,Cプラントに移動したことも大きい。 よって、Bを確保した後、そこをただ守っていても意味は余り無い。 Bをとったなら、すぐにラインを上げて敵コア前プラント攻略に入ろう。 逆に言うと、ライン上げという戦略はこのステージの場合、敵ベース前プラントまで奪取しないと効果が薄いということでもある。 ただし無視しすぎると今度は自軍ベース前プラント攻略の足がかりにされることもありえる。 自軍ベース前プラントの重要さはBプラントの比ではないため、最低限監視は怠らないようにし、場合によってはそれを阻止するためにBプラントを取りに行く(乱戦を生じさせる)という選択肢もありだろう。 プラントB プラントB周辺は戦場の中央にあり、頭上のアーチで榴弾砲から守られている。 プラントはリフト足場に半分めり込むような位置にあり、地上の境界ラインの内側の他、足場の上中央付近からコンテナに隠れつつ制圧可能。 とはいえ、足場の上は相変わらず玉入れの的にされる上、新設カタパルトにより空中から敵が降ってくることもあるため、過信は禁物だ。 地上では工作機械や砂山、小さな地形の凹凸などによりある程度の遮蔽は取れるようになっているが、四方からの手榴弾や、南側のアーチ・北側の建物上からの狙撃にたいしては十分身を隠せるとは言いがたい。 むしろ見通しが利きづらく、ダウナー辻斬りやサワード爆風への警戒も必要だ。 さらに、新設のガンターレットも脅威。 壊れていたはずがいつのまにか直っていて気付いた時には丸焼きになっていたなんて話も別に珍しいことではない。 結論として脆弱なBRでここに長くとどまるのはきわめてリスクの高い行動と言える。 戦略的にBプラント占拠の意味はあまり大きくないため、優勢を確保してプラントを奪取できたなら、速やかに敵ベース前プラント奪取か、コア凸へ目標を切り替えるべきだろう。 優勢が取れそうに無いなら、無視してコア凸や敵コア凸迎撃でも全然構わないと思われる。 プラントA,C プラントA,Cはベースに近い上に補給拠点まであり、攻撃側にとってはこれ以上ないベース攻略の足場となる。 ここを奪取~長時間制圧できれば敵コアに多大な打撃を与えられるだろう。 手榴弾がベースまで届く間合いであり、たとえ敵が出てこずに篭城を決め込んでいても、崩すのは容易だと思われる。 逆に防衛側はなんとしても奪われるわけにはいかないため、決死の覚悟で防戦・万が一奪われたなら奪回しよう。 プラントA,CはBのような屋根もなく、また遮蔽になるような地形はわずかに小さな段差があるだけ。 周囲には隠れるに適した建物や地形が散らばっており、単に突進して奪おうとしても集中砲火を浴びるだけという結果になりやすい。 単独で行くのではなく、複数機で足並みを揃えて、プラント制圧組、周囲の敵を追い出す役、ベースに凸して囮になる役などを分担するといいだろう。 現状の全野良なBBで足並みを揃えるのは難しいが、周囲の味方の動きを見ていればおそらく機会はある筈。 チャットで意思疎通を図り、数少ないチャンスを見逃さないようにしよう。 なお、プラントA,C確保に人手を割きすぎていると、頭上をカタパルトで飛び越されてカウンターをくらうことがある。 いくらコアダメージを取っても同じだけ取り返されては意味がない。 シュライクのエリア移動や自コアからのリスポンなどを活用して被害を最小限に押さえるよう気をつけよう。 強行突破 プラントをほぼ無視して敵ベース直行する。 基本ルートは2つ。 1:カタパルト×2~プラントB横の足場を直進する。AC慣性を使った強襲兵装の最速コア凸ルート。 2:足場の逆側、ガンターレットのある側を通過して敵ベースを目指す。 マップが狭くルートが限られるせいで警戒、発見されやすく突破の成功率は低い。 しかし、正攻法だけでコアを叩くにはライン上げに相当な労力が必要で、またブラスト戦である程度優勢をとらねばならず、限られたゲーム時間を考えるとチャンスはそうそう訪れない。 これに対し、強行突破は強襲ACのスピードを生かして防衛網を強引に突破し敵ベースを目指す。 スタート地点から最短20秒程でコアを直接叩けることから、決して無視できない戦術である。 あらかじめ狙撃等で自動砲台を潰しておけば成功率を引き上げられるので、突破を見越して施設破壊を行うのも援護として悪くはない。「戦線突破」で設置されていなかった4台の自動砲台は、設置箇所の土台が広くて爆風に巻き込みやすいことから、榴弾でも容易に破壊可能である。 なおこのマップ、横幅が狭いため通過可能なラインが限られている。 狙撃兵装のセントリーガン・ジャンプマイン、支援兵装のマイン・ボムなどは別マップより活躍できると思われる。 レーダーの破壊が配置上非常に困難なマップであり、敵味方双方ベース侵入がほぼ確実にアナウンスされるため、確認してから起爆が容易なリモートボム系統をコア周辺に設置しておくことで非常に強力な防衛手段になる ゴールキーパー(ベースニート?) いろいろ悪く言われることの多い『自軍ベース付近に居座って防衛(だけ)する人』だが、両スカービのようにコアへの強行突破が早い面においてはその必要性について一考すべきと考えられる。 とくに、開始直後のタイミングでビハインドを背負ってしまうと、味方は取り返すために相当な無理をする必要が出てくるため、ここを如何にしのぐかはきわめて重要である。 ベース進入の警告を聞いてすぐに戻っても、コアに誰もいなければ41式手榴弾3個+マシンガンで相当なダメージをもらってしまう。 むろん、周囲に気をめぐらせ突破されたと思えばすぐに戻って押さえる人がいるのが理想だが、そういう人が敵BRに絡まれていたりちょうど被撃破された直後だったりすると場合によってはゲームが終了してしまう。 これをさけるには、あらかじめベースに守備要員が待機しているというのが一番間違いない。 ただ、役割としてゴールキーパーを任せるからには、適当に地雷を蒔いていたら避けられました、適当に追いかけていたら撃破までに手榴弾n発を放り込まれました、では困ってしまう。 理想は1ミリも削られずに撃退、なので目視リモートで瞬殺か、ベースへの接近過程でガッツリ削ってベースラインを割らせない勢いで撃破か。 味方が安心してコア凸・ライン上げに専念できるようにするその責任はきわめて重大である。 無論、味方も敵のコア攻撃隊が複数で対処困難とみたら、即座に増援に回るのが望ましい。 リスポンするときも周囲の状況に気を配り、場合によってはあえてベースやベース前から出撃する必要もあるだろう。 なお、開幕最速コア凸は強行突破のところで述べたとおり、20秒もあれば第一波が到達する。 前述のとおりにコアダメージを喰らわないように撃退しようと思うなら、ACの無い強襲以外の兵装は開幕プラント占拠をのんびりやっている暇は無い。 最速でルートを押さえ、必要なら設置武器の配置を行うなど準備に怠り無いようにしよう。 注意 Bプラントは、榴弾が降って来ることもないが、榴弾を打ち上げることも出来ない。榴弾の打ち上げ音の直後に炸裂音が聞こえるようだと、それはアーチに当たっている証拠。 更に、Bプラント横の高台で榴弾を撃つと、アーチで炸裂して自爆になることがあるので注意すること。 Ads by BBNetaWiki コア凸に悩むあなたに朗報です! www21.atwiki.jp/frontlineinformation/pages/93.html 今なら月額1550GP! 心強い仲間がコア凸までを協力ナビ!詳しくはくーが24社営業部まで 機体を大破させたあなたに朗報です! www21.atwiki.jp/frontlineinformation/pages/77.html 保険料は月々500GPから、ブラストランナー自賠責保険
https://w.atwiki.jp/1yenp/pages/26.html
《店舗名》 《設置台数》 《換金》 《貯玉・再プレイ・移動・共有がそれぞれ可能か》 《その他備考》 【東京都】 【大田区】 -ここを編集 グラン羽田店 56台 等価 移共貯再 ニラク大田雑色店 131台 移○共○貯○再○ オパースワン大森店 台 移共貯再 0.5パチ有 蒲田ビッグアップル 234台 等価 移○共○貯○再○ 0.5パチ有 蒲田ヒロキ本店 84台 等価 移○共○貯○再○ 蒲田ヒロキ東口 348台 等価 移○共○貯○再○ 蒲田ヒロキ3号店 236台 等価 移○共○貯○再○ 大森金時 80台 移○共○貯○再○ 金時京急蒲田店 61台 移共貯再 大森PIA 57台 等価 移○共○貯○再○ 大森メッセ 96台 等価 移?共?貯○再○ PS 六郷土手メッセ 120台 0.625? 移?共?貯○再○ 梅屋敷ニラク 60台 等価 移○共○貯○再○ 梅屋敷ニラク2号 130台 移○共○貯○再○ 大田長原ニラク 49台 等価 移○共○貯○再○ 大鳥居パーラーオアシス 30台 移○共○貯○再○ 貸玉500玉単位 テゾーロ 台 移共貯再 平和島レイトギャップ 128台 0.6→等価? 移?共?貯○再○ 雑色フルハウス 65台 移○共○貯○再○ 0.5パチ有 雑色PIA 64台 等価 移○共○貯○再○ 武蔵新田ガイア 61台 移○共○貯○再○ キーコナ蒲田店 移○共○貯○再○ TAIKO御嶽山駅前店 移○共○貯○再○ 0.5パチ有 ゆたか雪が谷大塚店 移○共○貯○再○ PS 池上プラザ 111台 移○共○貯○再○ 下丸子パチーノヒノ 25台 移○共○貯○再○ みとや大森町店 等価 移○共○貯○再○ 京浜ホール 37台 移共貯再 楽園蒲田店 台 等価 移共貯再 【渋谷区】 -ここを編集 渋谷アムディ 0.625→等価? 移○共○貯?再? 10/9/20閉店 渋谷エスパス本店 122台 等価(←0.6) 移○共○貯○再○ 2円併設 渋谷エスパス駅前店 66台 0.5! 移?共?貯○再○1の付く日は手数料無料 2円併設 改装中 渋谷マルハン 106台 等価(←0.7) 移○共○貯?再? PS 完全禁煙 託児所有 2円併設 渋谷ガイア 75台 0.5 移○共○貯○再○手数料37.5% 1の付く日は手数料無料 渋谷楽園道玄坂店 等価 移○共○貯○再○ 渋谷BBステーション 10/12月閉店? 代々木ガイア 93台 0.5 移○共○貯○再○手数料50%? 1円閉鎖 代々木jack betty 移?共?貯○再○手数料1000玉無料 PS 笹塚BIG-1 61台 半分(0.5?) 移○共○貯○再○手数料1000玉無料 以降6割 貸玉500円から 笹塚風羅巴 初台あかね 等価 【目黒区】 -ここを編集 自由が丘三星 60台 0.6 移○共○貯○再○ 自由が丘プレゴ 42台→74台 0.6 移○共○貯○再○手数料5000玉無料? PS 自由が丘パサージュ 83台 0.7? 移?共?貯○再○手数料1000玉まで無料 以降200玉で86玉? PS 学芸大学ぼたん 72台 0.625→等価? 移×共×貯○再○手数料200玉で90玉 不定期に無料イベント開催 2.5円閉鎖 学芸大学ミナミ 49台 1.58円貸1円換金 移○共○貯○再○手数料36% 目黒ガイア 82台 0.5→? 移○共○貯○再○(0.5) 2円閉鎖 10/9月交換率UP? 【品川区】 -ここを編集 武蔵小山エンジェル本店 112台 0.75 移○共○貯○再× コイン両替推奨 武蔵小山エンジェルV 90台 0.75 移○共○貯○再× 貸玉500円から 武蔵小山F4 205台→ 1.6円貸1円換金 移○共○貯○再○ 4円再開により規模縮小 西小山エンデバー 32台 0.6→0.9(1112玉) 移○共○貯○再○手数料100玉で10玉 閉店 西小山将軍 36台 0.6 移○共?貯○再○キャンペーン中手数料無料 貸玉500円から 西小山ヒノマル 37台 0.56? 大井町ZERO-1 189台 0.6→0.83 移○共○貯○再○(0.595)手数料100玉で68玉 0の付く日は無制限無料 禁煙コーナー有 大井町DELFEEL 等価? 移?共?貯○再○手数料無制限無料 目黒百万弗 42台 0.625→0.83 移○共○貯○再○手数料上限2000玉無料 全面禁煙 大崎ニューオリンピア 34台→64台 0.5→? 移○共○貯×再× 片側のみ禁煙席 五反田コトブキ 66台 約0.835 移○共?貯○再○ 戸越公園フルハウス 54台 0.625 移○共○貯○再○手数料2000玉無料 以降25%? 青物横丁グランブルー 120台→154台 0.6(1666玉) 移○共○貯○再○無料前2500玉無料 以降100玉で66玉? PS 西大井アムディ 【港区】 -ここを編集 赤坂エスパスA館 39台→87台 0.6→等価 移○共○貯○再○手数料無制限無料 2円閉鎖 全面禁煙 赤坂エスパスB館 1.6円貸 移?共?貯○再○ 閉店 赤坂サントロペ 24台 0.6→等価? 移?共?貯○再○手数料完全無料 1円再設置 10/10/2交換率UP? 新橋KEアネックス 53台 0.6→等価? 移○共○貯○再○手数料1000玉無料 1の付く日は無料 2円再開 新橋グリーンピース 42台 0.625 移○共○貯○再○手数料200玉で120玉 1の付く日は無料 2円閉鎖 新橋ガイア 25台 0.625 移○共○貯○再○手数料1000玉無料 以降? 3の付く日は無料 1円閉鎖 三田ピーアーク 121台 0.75→等価 移○共○貯○再○手数料8の付く日は無料 六本木ミナミ 83台 1.54円貸1円換金 田町キングイーグルズ 等価? 【新宿区】 -ここを編集 新宿ニューアサヒ 156台 0.75→等価? 移○共○貯○再○手数料25% 10/9/6交換率UP? 新宿メトロ会館 190台 1.5円貸1円換金→1円等価 移○共○貯○再○(貸玉変更前 手数料1000玉無料 17・18・19日・土・日曜・10~12・18~20時は無制限無料) 禁煙コーナー有 2円併設 新宿信長 37台 0.5 移○共○貯○再○ 10/12月閉店? 新宿エスパス1号店 139台 0.6→等価 移○共○貯○再○ 2円併設 新宿金馬車 28台 0.5 移○共○貯○再○ PS 新宿パサージュ 75台 0.7(1430玉)→等価 移?共?貯○再○ PS 高田馬場エスパス本店 44台 等価 移?共?貯?再? 金額設定付サンド 高田馬場エスパス2 67台 等価 移○共○貯○再○ 2円併設 高田馬場TOYO104 73台→103台 0.55(1820玉)? 移○共○貯○再○ 全面禁煙廃止? 高田馬場国際センター 27台 0.6(1650玉) 移○共○貯○再○手数料1000玉無料 以降手数料アリ 貸玉300円から 新大久保エスパス本店 160台 0.6→等価 移○共○貯○再○ 2円閉鎖? 新大久保エスパス本店0.5円貸 ?台 0.25 移○共?貯○再○ 0.5円閉鎖 新大久保エスパス駅前店 43台 0.5→等価 移○共○貯○再○ 1円閉鎖? 大久保グランパ 356台 0.6→等価 移○共○貯○再○手数料無制限無料 禁煙コーナー有 全館等価 四谷パーラーコメット 0.75→等価 移○共○貯○再○手数料無料 金額設定付サンド 飯田橋オアシス 0.6?→等価 移○共×貯○再○ PS 1.6円閉鎖 神楽坂パサージュ 103台 0.7(1430玉) 移○共○貯○再○手数料1の付く日は無料 神楽坂ゴードン 移?共○貯○再○ 【豊島区】 -ここを編集 池袋やすだ6号店 25台 0.5?→等価? 移○共○貯○再○ PS 池袋やすだ8号店 204台 0.714(1400玉) 移○共○貯○再○ PS 2円閉鎖 池袋プレゴ 74台 1円貸1円換金 移○共○貯○再○手数料5000玉無料 終了後20%? PS 全面禁煙 喫煙室有 池袋プレゴEX 69台 1.6円貸 移?共?貯○再○手数料上限5000玉無料 16・17・18日は無料 PS 池袋チャレンジャー 64台 0.75→等価? 移?共?貯○再○手数料無料? 10/11/12 1円閉鎖 池袋チャレンジャー3 113台 0.75 移?共?貯○再○手数料無制限無料 池袋遊大陸 55台 0.83→等価 移○共○貯○再○手数料無料? PS 池袋甲子園パール 72台 0.625→0.8(1250玉) 移○共○貯○再○手数料2000玉まで無料 以降200玉で50玉 1の付く日は無料 PS 池袋PIA 0.5 移○共○貯○再○手数料期間中1000玉無料 以降35%? PS 1円再設置 10/10/18より等価? 池袋ガイア 35台 0.5→0.8? 移○共○貯○再○手数料0.5? 1の付く日は無料 千川ラッキーゾーン 40台 0.6(1667玉)→? 移○共○貯○再○手数料30%で上限2000玉? 1の付く日は無料 PS 東長崎ガイア 38台→46台 0.5→? 移○共○貯○再○(交換率変更前 手数料200玉で200玉 1の付く日は無料) PS 10/10/29交換率UP? 大塚ガイア PS 大塚ゴードン 77台 0.625 移○共○貯○再○ 【板橋区】 -ここを編集 成増コンサートホール 90台→151台 0.6→等価 移○共○貯○再○手数料100玉で約50玉 1と8の付く日は手数料無料? PS 成増会館 移?共?貯○再○手数料1の付く日は10~11時まで無料 18日は終日無料 成増会館B館 85台 0.6 移○共×貯○再○手数料1の付く日は10~11時まで無料 10/7/19店休 成増会館II 等価? 2円→1円に変更 成増会館III 68台→136台 0.75 移○共×貯○再○手数料500玉で165玉 成増ミリオン7号 50台 0.625? 移○共○貯○再○手数料1000玉無料 毎週月曜と8の付く日は3000玉無料 下赤塚サイバー 82台 0.5→等価 移○共○貯○再○(交換率変更前 手数料200玉につき200玉 0の付く日は手数料4000玉無料) 2円併設 10/10/21より等価 下赤塚オリンピア 33台 0.5→等価 移○共○貯○再○開店~12時までと、18時~閉店までは、それぞれ2000玉まで手数料無料。それ以外の時間は、200玉につき200玉 2円閉鎖→1円再設置 東武練馬ワールド 36台 移?共?貯○再○ 上板橋ニューワールド 等価? 移?共?貯○再○キャンペーン中手数料2000玉まで無料 2円併設 上板橋ロビー 0.7? 移?共?貯○再○手数料1の付く日は無制限無料 0.5円併設 上板橋TAIHEI 21台 0.6 移○共○貯○再○手数料2000玉無料 以降交換率と同等 上板橋太閤会館 99台 0.6→? 移○共○貯○再○手数料100玉で42玉 1の付く日は無制限無料 10/8月交換率UP? 上板橋ホワイトタイガー ときわ台LIBRE 56台 0.588(1700玉) 移○共○貯×再× 中板橋チューオー 0.5 移○共○貯×再× 貸玉1000円のみ 大山やすだ4号店 156台 等価 移○共○貯?再? PS 仲宿やすだ 48台 移○共○貯?再? PS 西高島平セブン 28台 新高島平CASA7131 28台 移○共○貯○再○手数料無制限無料 2円併設 新高島平大王 移○共○貯○再○ PS 10/7/26交換率UP? 高島平ニューラッキー 移?共?貯○再○手数料無制限無料 志村三丁目パラッツォ 68台 0.5?→等価? 移○共○貯○再○手数料無料? 志村坂上ドリームファクトリー 志村坂上コンサートホール 本蓮沼アミュズワン 0.625 移○共○貯○再○毎週金曜は1000玉無料 18日は無制限無料 PS 禁煙コーナー有 浮間船渡ガーデン 80台 0.6 移○共○貯○再○手数料8の付く日と毎週木・金・土・日曜は無料 PS 1.6円閉鎖 浮間船渡フェスタ 80台 0.6 移○共○貯○再○手数料不定期に無料イベント開催 PS 練馬プラザ 【杉並区】 -ここを編集 荻窪ブランド 0.5→等価 移○共○貯○再○ 荻窪サイバー 221台 0.5→? 移○共○貯○再○手数料2000玉無料? 3と7の付く日は3000玉無料 2円併設 10/8/9交換率UP?11/07/31閉店 荻窪ヒノマル 等価? 移○共○貯○再○手数料無制限無料 荻窪オーパ 101台 0.625→0.83(1200玉) 移×共×貯○再○ 台移動禁止 荻窪フィオーレ 等価? 移?共?貯○再○ 0.5円併設 1円再開 荻窪アラジン 159台 等価 移?共?貯○再○手数料無制限無料 10/9/10閉店 荻窪一番舘 移?共?貯○再○手数料無料? PS 西荻窪ガイア 148台 0.5→? 移○共○貯○再○ 10/7/26交換率UP?12/7月1パチ専門にリニューアル 阿佐ヶ谷パルコ 54台 0.625 移○共×貯○再○手数料200玉で64玉 100円両替機あり 阿佐ヶ谷オーシャン 移○共○貯○再○ 南阿佐ヶ谷ロイヤル 0.75?→等価 PS 南阿佐ヶ谷WINS 等価? 閉店? 高円寺パンドラ 52台→25台 0.6→等価? 移○共○貯○再○手数料無制限無料 貸玉500円から 高円寺ミリオン22号 112台 移○共○貯○再○手数料200玉で120玉 1と8の付く日は開店~13時まで2000玉無料 高円寺AION 等価 移○共○貯○再○ 閉店 高円寺サンコー 17台 東高円寺コトブキ 72台 0.5→0.56(1800玉) 移○共×貯○再○手数料100玉で100玉 移動は1箱まで可 2円併設 新高円寺KEIZ 0.75→等価 移○共○貯○再○ 桜上水アルカム 0.6 移○共○貯○再○ 閉店? 下井草ヒノマル 50台→56台 0.58(1720玉) 移○共○貯○再○(2500玉まで手数料無料。以降100玉につき72玉?) 方南町ニコニコ 0.6 移○共○貯×再× 1/31閉店 方南町ジョイ 52台 0.5? 移○共○貯○再○手数料朝10~12時まで無制限無料 1の付く日は無料 PS 西永福フィオーレ 21台 0.5 移○共○貯○再○手数料100玉で50玉 永福町フルハウス 0.6→等価? 移○共○貯○再○手数料無制限無料 PS 永福町フィオーレ 16台 浜田山フィオーレ 移?共?貯○再○不定期に無料イベント開催 【練馬区】 武蔵関サンコー関町 71台 0.6→? 移○共○貯○再○手数料1と5の付く日は無料 10/8/1交換率UP? 光が丘チャンピオン 41台 0.6(1668玉) 移○共○貯○再× 東武練馬ミリオン13号 45台 移○共○貯?再? 石神井公園ミリオン20号 78台 0.625 移○共○貯○再○手数料200玉で120玉 平和台ミリオン16号 33台→67台 0.625? 移○共○貯○再○手数料200玉で120玉 金額設定付サンド 氷川台ミリオン11号 16台 0.625 移○共○貯○再○手数料200玉で120玉 大泉学園ガイア 98台 0.5 移○共○貯○再○200玉で318玉? PS 大泉学園gakuen 57台→153台 0.65(1540玉) 移?共?貯○再○手数料1万玉まで無料 2円閉鎖 10/10/24交換率UP? 江古田ミナミ 68台 0.6 移○共○貯○再○手数料100玉で50玉 江古田ヒノマル 36台 0.58→1.6円貸 移○共○貯○再○ 江古田やすだ 等価? 移○共○貯○再○手数料無料? PS 貫井ニューグランド 53台 移?共?貯○再○手数料無料? 10/11/18より店休 中村橋ジャンボ 中村橋国際センター 練馬ニューかめ 40台 0.6(1666玉)→0.83? 移○共○貯○再○手数料100玉で66玉 18・19・20日は2000玉まで無料 富士見台らくらく館 281台 移?共?貯○再○手数料3の付く日は3000玉無料 2円併設 【千代田区】 -ここを編集 神田ガイア 121台 0.5→等価 移○共○貯○再○手数料3の付く日は無料 神田ジャンボ 50台→75台 0.625→等価 移○共○貯○再○手数料100玉で55玉 6の付く日と土曜は無料 神田みとや西口店 56台 等価 移○共○貯○再○手数料無料 2011年11月オープン 水道橋マリオン 0.8?→等価? 移○共○貯○再○ PS 1円⇔4円貯玉使用可 水道橋みとや 秋葉原AION 0.625 移○共○貯○再○手数料200玉で120玉 3と7の付く日は無料 PS 飯田橋PRESAS 136台 0.6→等価 移○共○貯○再○手数料10~12時無制限 17時~1000玉無料 土曜・1・8の付く日・15日は終日無料 不定期に無料イベント開催 貸し玉1.25円
https://w.atwiki.jp/aatrpg/pages/315.html
,... ´ ̄ ̄ ̄ `ヽ、 / ,.. - ,-- 、 \ \ / / / ∨ ヽ ヽ ヽ / ' / | ∨ ∧ . ' / | | ', , . / / ,イ ! | | . ' ' ,' / { | 、___ | | . ,| | | _|__ ∨ | ´\__| | | /| | | | { ∨ l ィ斥ァ | | {/| | |{ |,ィチ沁 ヽ从 〉弋_zソ | {i |! | | |八{弋こソ ' | | |{ |! | | | ム ; | | | .. 乂! ! ! 込 イ | | .. | | | > ` . ´ | | | . { { { | ,.ィ | `´ | / | | . | | | |イ´ / |{ / | | . | | |/ _ {', / { |ヽ、 . | / |-- '´ {ヽ| ヽ ,...イ / リニニ、 . /ニ |ニ| マ ム ゚ / _,/j! /ニニニヽ } ,ニニマ{ニ{ マ ム__/ イ / /ニニ/⌒∨ /ニニニ|ニ ', 〈  ̄`ヽ' / /ニ /ニニニ', ,イニニ/ニニ 、 }_ / , /ニニニニニニ . {ニニ /ニニニニ, / Y ,.{/ /ニニニYニニニニ} |ニニ{ニニニニ ∨イ //ニ /ニニニニ}ニニニニ', /ニニ八ニニニニニ\イニニニニニニニlニニニニ . {ニ /ニニ}ニニニニ (:)ニニニニニニニ!ニニニニニ, |ニニ{ニニ|ニニニニニ|ニ|ニニニニニニニ{ニニニニニ. |ニニニ{ニニニニニ|ニ|ニニニニニニ /ニニニニニニi 【プレイヤー】 茉莉華 ◆x493ZJZUvQ 【他PL】 ヴィクトリカ:ぬこさん 霊夢:妹様 アイギス:0401さん 【パーソナリティ】 名 前 渋谷凛 シンボルカラー 青 ランク 2 年 齢 15 性 別 女 背 景 アイドルランカー 職 業 高校生(兼アイドル) 目 的 ダークランカーを倒す 運 命 ダークランカーのカードが欲しい 【LP】 基準値 20 【特技リスト】 白 青 緑 金 赤 黒 白竜 水竜 緑竜 金竜 火竜 黒竜 2 僧侶 魚 ワーム 宝石 竜人 闇騎士 3 格闘家 魚人 鳥人 岩石 恐竜 怪物 4 斧使い イカ 鳥 鋼 戦車 忍者 5 剣士 蟹 獣 錬金術師 蛮族 妖怪 6 槍士 探偵 獣人 魔法生物 小鬼 蝙蝠 7 歩兵 海賊 エルフ ドワーフ 大鬼 吸血鬼 8 弓兵 魔術師 妖精 機械 巨人 不死者 9 砲兵 使い魔 昆虫 運命 雷 幽霊 10 天使 雲 植物 女神 炎 悪魔 11 軍神 水精霊 森精霊 土精霊 火精霊 邪神 12 【マジックカード】 マジックブレイク 【カードリスト】 カード名 タイプ リスク 指定特技 参照 コモンカード 攻撃 3 魚人 P162 名探偵 補助 3 (探偵) P199 風の女魔術師 補助 4 (魔術師) 199 ゲソード 攻撃 2 (イカ) 198 リビングデッド・ウォーキング 補助 5 (不死者) 207 【レジェンドカード】 名前 精神を刻む者、ジェイス 指定特技 魔術師 効果 デッキ破壊 【レジェンドカードのかっこいい説明】 ここには書ききれないので略 【絆】 対象 取得 使用 ヴィクトリカ 目的 ― ヴィクトリカ 背景 ☑ アイギス 目的 ― アイギス 背景 ― 霊夢 目的 ― ― ― ― 【設定】 アイドルの卵で生粋のカードマニア、現役女子高生。クールで冷めたように見えるがカードへの情熱はなかなか。 特にカードショップなどに入り浸ってる姿はよく見られる。またカードの会話で面白そうなのがあれば首をつっこむ 事務所ではカード好きの経歴を生かしてカードゲームリポーターなどをしていたりもする。 レジェンドカード、「ジェイス・ベレレン」をよく実体化させて話している。レジェンドカードであるけど、制限されているため効果を発揮するには特定のカードをつかわねばならない。 最近CDデビューした、実家は花屋。
https://w.atwiki.jp/4423/pages/2139.html
編集する。 2024-08-31 01 43 22 (Sat) - [[]]とは、 videoプラグインエラー 正しいURLを入力してください。 リンク内部リンク 外部リンク 討論用 編集者用ミニ編集参加(文の提供・嘘・誤字等) 出典、参考 リンク 内部リンク [[]] [[]] [[]] 外部リンク 討論用 名前 コメント すべてのコメントを見る 編集する。 2024-08-31 01 43 22 (Sat) - トラックバック一覧 trackback() テクノラティ検索結果 #technorati 口コミ一覧 #bf 関連ブログ一覧 #blogsearch ニュース #gnews Plugin Error キーワードを入力してください。 #gnews Plugin Error キーワードを入力してください。 リンク元 #ref_list 編集者用 ミニ編集参加(文の提供・嘘・誤字等) 出典、参考
https://w.atwiki.jp/yuzuneko/pages/443.html
#blognavi ふいい疲れたぁ~(´ε`;) 今日は渋谷と町田に渡ってっみんなとガチってきました。 まずは渋谷にて・・・ メンツはTOGクン・SATさん・ルナさん・チャーさん・茶坊さんがいました。 いろんな人とガチりましたが、やっぱりSATさんは別格っすね。。。マジサブも恐ろしく強い・・・。 当面の目標はSATさんに5分でww TOGクン12日頑張ろうね(´∀`) 町田では千葉がいたので、千葉といろんな人とガチる。 千葉戦は2勝2敗でした。 町田で負けたのはその千葉の2敗だけだったので、ちょっと大会への自信になったかもww 千葉の起き攻め全然見えん・・。 コピーしよっかなwww まあ冗談でwwあんま大会では当たりたくないなぁ~。 管島さん&ゆず爺さんへ ちょっと今日町田で遊んでたら疲れのせいか、遊んでる途中で気持ち悪くなっちゃって・・。テスト疲れもあるし、塾の面接あるんで、練馬いけなそうです・・。 ホント自分勝手でごめんなさい。。。。。。。。。 カテゴリ [メルブラ] - trackback- 2006年03月10日 22 14 21 名前 コメント #blognavi